トランプ関税、中国に消費へのシフト迫る可能性-ゴールドマン
(ブルームバーグ): 米国による中国製品に対する関税の引き上げは中国の成長を鈍化させる可能性があるが、同国に消費重視への転換を迫る可能性もあると、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストが指摘した。
関税が引き上げられた場合、中国政府は内需をさらに強化するための財政支援を強化せざるを得なくなるだろうと、シンチュアン・チェン氏らエコノミストが1日のリポートで分析。家電の下取りプログラムや不動産支援策を含む今年実施された政府の景気刺激策の波は、すでに来年の成長を内需へとシフトさせるよう設定されていると指摘した。
リポートは「中国製品が来年米国の関税引き上げに直面した場合、それは内需へのシフトを加速させることになるだろう」としている。
アナリストや投資家は、中国当局がよりいっそう消費に軸足を移すのは貿易の状況がさらに悪化した場合のみだとの見方を強めている。ベテランのアジア投資家でPAGの執行会長を務めるウェイジャン・シャン(単偉建)氏も、外部環境が厳しくなれば当局は成長促進のために消費拡大を優先させるようになるだろうと述べている。
中国は2021年以降、需要の縮小を主要な問題として認識しており、最高幹部で構成される政治局の会合で消費促進を繰り返し目標に掲げてきた。国際通貨基金(IMF)なども、中国が投資や貿易への過度な依存から脱却し、消費との均衡を回復することを呼び掛けている。
米国はこの声に加わり中国経済の供給過剰を批判しているが、米国からの敵対的な姿勢と圧力の強まりは、技術面での自立と製造業優先という決意を習近平国家主席に固めさせるばかりだ。
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は、当選した場合、中国製品に60%以上の関税を課す可能性を示唆している。
ゴールドマンのエコノミストは、トランプ氏が大統領に選出された場合、中国製品に20%の関税が課されると想定しており、それにより同国の国内総生産(GDP)成長率は0.7ポイント押し下げられ、資本形成と輸出が打撃を受けるだろうと予測。