ファンダムが世界を変える!? ソーシャルムーブメントを巻き起こすK-POPアイドルとファンの関係
K-POPはいまや言葉や文化の壁を越えて、人々をひとつにまとめる世界的な現象になっている。それを支えるのが、陰の立役者であるファンダム。呼応してより高みを目指す、アイドルとファンたちの絆をひもとく。『エル・ジャポン』5月号より 【写真】BTS(防弾少年団)がグローバルに活躍するまでの歴代フォトギャラリー photo Getty Images, AFLO
BTS
なぜK-POPアイドルがソーシャルグッドのアイコンになるのか? 「自分に適用される基準によって認められる、その重さを負わずに何事もなすことはできない。だから僕は、“ただ平凡に暮らしたいのに!”という不平を言うのではなく、成熟しその重さを感じなければならない。もし“人気が重荷だ”と思ってしまえば、それはただの荷物だ。しかし、その荷物が僕に望むものを与えてくれた」 昨年行われたある媒体のインタビューで「巨大なファンダムがあることへのプレッシャー」を問われ、こう答えたBTSのリーダーRM。累計で10億円を超えるとも言われる寄付を行い、BLM運動を支持し、国連でスピーチを行い、ホワイトハウスでアメリカの大統領と面会し……その活動は、RM自身が言うように「外交官」さながらだ。
アーティスト/アイドルのそうした社会的な活動は、韓国においては特殊なことではない。理由はさまざまにあるが、一番は人々がアイドルに道徳的な人間性と、ファンたちのロールモデルたることを求めるからであり、同時にそれがスターとしてのブランド価値になってゆく。BTSはそうした成功の典型例だ。 ※2020年に高まったブラック・ライブズ・マター(BLM)運動で、ダラス警察が「デモ隊の違法行為」を報告するようツイート。これに反発したBLMを支持するBTSファンたちは、お気に入りのメンバーたちの動画を送り続け、同警察のサーバーをダウンさせた。
アーティスト/アイドルとしての彼らを夢見るファン/ファンダムは、社会的な活動においても彼らを模範として、寄付をし、リサイクルに励み、政治や企業に気候変動の問題を訴える。そして両者の関係は決して「アイドル→ファン」の一方通行ではない。ホワイトハウスを訪れた後、RMは雑誌で「僕たちの意図ではなかったと思うが、僕たちは社会的な人物になり、それを受け入れた」と語っている。 ※全米で高まるBLM運動に支援を表明したBTSメンバーと所属事務所は、この運動に100万ドル(約1億4000万円)を寄付。メンバーの行動に刺激を受けた世界中のARMYたちは、SNS上で「この寄付金を倍にする」と募金活動を始め、24時間以内にこれを達成した。