2,000万円の保障が200万円に…“がん闘病中”の42歳夫に「死亡保険金」が出ると知らず大後悔。ほとんどの人が契約時にさりげなく付けている「特約の名前」とは【CFPが解説】
知識不足からの早まった判断を後悔
神奈川県横浜市在住で42歳の佐々木恵子さん(仮名)。 3ヵ月前に同い年の夫を大腸がんで亡くし悲しみに暮れた日々を過ごしていたのですが、ようやく前を向こうという気持ちになりかけていた今日このごろ。 ところが、夫の遺品整理をしている際に半年前に経済的な負担から解約をした夫の生命保険の資料が出てきて、なんとなくそれを見ていたところ、実は取り返しのつかないミスを犯していたことに気が付きます。自分の知識不足を後悔し、いまやりきれない思いになっているのです。 35歳のときに夫が生命保険に加入 佐々木さん夫妻は35歳のときに結婚。そのときに佐々木さんは勤めていた会社を退職し専業主婦に。その後の家計は年収1,200万円の会社員である夫がひとりで支えてきました。 結婚後しばらくして夫が保険会社に勤める大学時代の友人から生命保険に加入。夫は自分に万が一があったとき、妻である佐々木さんに経済的な心配をかけたくないと死亡保障を重視し以下の死亡保険に加入しました。 ・終身保険 保険金額:2,000万円 月々の保険料:4万8,000円 ・定期保険 保険金額:3,000万円 月々の保険料:7,000円 夫は健康には自信があったため医療保険やがん保険など病気関係の保険については見送り。また、月々の保険料が掛け捨てとなることもあまり好まなかったため、老後の貯蓄も兼ねて貯蓄型の終身保険を重点的に加入しました。 保険のプランニングや契約手続きの際には佐々木さんも同席し、夫の友人でもありFPでもある担当者から丁寧に説明を受け、今後も困ったときには相談できると安心感を得ることができました。
夫の大腸がんで支払い対象の2,000万円が200万円に
4年前夫が38歳のとき、会社の定期健康診断の便検査での精密検査で大腸がんが発覚。何度か入院・手術を繰り返すとともに長期の抗がん剤治療を受けましたが、なんとか仕事も両立しながら過ごしてきました。 ところが1年ほど前にがんの転移が見つかり、その後の抗がん剤治療での副作用が重くなって仕事にもかなり支障が出てきたため退職。 加入していた保険は死亡保障の保険2つだけだったため、治療費はすべて貯蓄から支払ってきました。夫が退職後数ヵ月して貯蓄にもゆとりがなくなってきたため、佐々木さんが派遣社員で事務の仕事につきましたが夫と同レベルの収入を得ることは難しく、家計は毎月赤字の状態に。 保険料負担の大きい終身保険を解約 夫の収入がなくなった分佐々木さんが仕事につくとともに家計を節約して過ごしてきましたが、いよいよ貯蓄も底をつき始めてきました。 ちょうどそのころ夫が体調を崩し再入院。2週間ほど療養したときに佐々木さんは主治医から別室に呼ばれ、夫のことについてこれ以上治療方法がないため退院し在宅医療に移行すること、そして夫の状態について「3ヵ月くらいで」と覚悟することを伝えられました。 夫が在宅医療となり仕事と家事、そして夫の看病が重なり肉体的、精神的にもゆとりがなくなっていた佐々木さん。また夫の看病で仕事も休みがちになり佐々木さんの収入が減少、家計状況もかなり厳しくなってきました。お金のことでどうしたらよいかわからなくなり相談をしたかったのですが、夫の友人でFPでもあった生命保険の担当者は数年前に保険会社を退職していました。 限られた知識のなかで検討した結果、やはり生命保険の保険料負担が厳しいという結論に。こういった状況で生命保険を解約することはとても複雑な心境でしたが、夫と相談し掛け捨てで3,000万円の保障がある定期保険はそのまま残し、毎月約5万円の保険料負担の終身保険は解約することにしました。終身保険は貯蓄型保険のため、解約時に約200万円の払戻金(解約返戻金)があり、当座の生活費などで助かりました。