炎上どころか大絶賛…最も成功した少女漫画の実写化は?(3)主題歌ハマり過ぎて恐ろしい…音楽、演技、全て最高
「こんな恋がしてみたい」と、世の女性たちの心をときめかせてきた“少女漫画”。実際にはありえないような夢物語も特徴の1つであり、実写化作品の失敗例は多く、まさに死屍累々である。しかし、中には原作ファンの心を掴むことに成功した作品も。今回は少女漫画の実写化を見事に成功させた映画を紹介する。第3回。(文・かんそう)
『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)
監督:三木孝浩 原作:咲坂伊緒 脚本:三木孝浩 キャスト:浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二、上村海成、三船海斗、古川雄輝、戸田菜穂 【作品内容】 恋愛に積極的だが不器用な性格の山本朱里(浜辺美波)。夢見がちで恋愛に消極的な市川由奈(福本莉子)。朱里の義理の弟の山本理央(北村匠海)、由奈の幼なじみの乾和臣(赤楚衛二)。同じマンションに住み、同じ高校に通う4人が四者四様の思いがすれ違いながら交差していく恋愛模様を描いた作品。 【注目ポイント】 出演は浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二など。男女4人の高校生の切ない恋物語を描いた、これぞ少女漫画の「王道」とも言うべき作品だ。 メインキャストの透明感は尋常ではなく、映画『君の膵臓をたべたい』(2017)で、その圧倒的な才能を見せつけた浜辺美波と北村匠海に加え、第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを獲得した福本莉子と、『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系、2017)で仮面ライダークローズ役を演じ一気に知名度を上げた赤楚衛二という最も輝いている若手俳優4人が、その王道を真正面から演じている。それだけで「勝ち」と言っていいだろう。 明るい性格で恋愛に積極的な朱里、消極的な性格で漫画のような恋愛を夢見ている由奈、朱里の義弟で自由奔放で来る者は拒まない性格の理央、天然で思ったことは正直に言う性格の和臣、いわゆる「悪人」「敵」が1人もおらず、登場する人物全員を心から応援することができるのが本作の最大の魅力なのだが、全員が「良い子」ゆえにすれ違う姿が、切なくもどかしい。こんな学校生活を過ごした覚えは1秒もないのだが、映画を観終わった瞬間、この物語がまるで「自分の記憶」かのように思えてきた。 さらに、主題歌にOfficial髭男dism「115万キロのフィルム」が起用されたことも映画のクオリティをグッと高めている。「115万キロのフィルム」は、映画が公開される以前から結婚式の定番曲としておなじみとなっている楽曲だが、映画のエンドロールで聴くと「この作品のために作られたのか?」と錯覚してしまうほどの親和性で、改めて髭男の恐ろしさを目の当たりにした。 (文・かんそう)
かんそう