「25歳まで酒とギャンブルはダメ」「200万~300万円の高性能PC」 師匠が明かす「藤井を泣かせた男」伊藤匠七段の素顔
父親に与えられた「200万~300万円の高性能PC」
そんな伊藤少年は12年、全国小学生将棋大会の準決勝で藤井少年と対戦。敗れた藤井少年が号泣したエピソードにより、「藤井を泣かせた男」と呼ばれることもある。しかし、その藤井が16年に史上最年少の14歳2カ月でプロ棋士となったのに対し、伊藤がプロになったのは20年、17歳の時だった。 「伊藤は奨励会三段リーグの時に、父親にPCを買ってもらったんだ。200万~300万円はする、すごい性能のヤツ。伊藤が四段昇格を果たしてプロ棋士になったら代金の半額を父親に返すという約束だったらしい。それまでは私が使うような普通のノートPCで研究していたんだ。高性能のヤツに変えたことも奏功して、四段に昇格したんだろう」(宮田八段)
「25歳まで酒とギャンブルはダメ」と言っている」
高性能PCを活用して将棋を研究しているのは藤井も同様である。 「今の将棋にはAIは欠かせない。ただ、今はそれを使うだけじゃダメなんだよな。AIが示す最善手がなぜ最善なのか、という理由を自分で考えないといけない。伊藤にはそれができる思考力、柔軟性があると思うよ」 そう話す宮田八段に伊藤のプライベートについても聞いてみると、 「伊藤を含む弟子たちには『25歳まで酒とギャンブルは絶対ダメだ』って言っている。女? それはいいんじゃない? ただ、伊藤についてはそういう話は聞かないけど……」 そして、6月20日に行われる叡王戦の最終局に関してはこう話すのだった。 「アドバイスなんて何もない。好きにやってくれ、頑張れよ、だけだ」
「週刊新潮」2024年6月13日号 掲載
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