<高校野球>「打てない速さじゃない」 習志野の4番・桜井、バット長く持ち値千金の一発
◇第91回選抜高校野球準決勝 ○習志野6-4明豊●(2日・甲子園) コンパクトに、とにかくコンパクトに。同点の八回無死、左打席に向かう習志野の4番・桜井は「次につなぐ」ことを意識した。しかし、こうも思った。「打てない速さじゃない。自信がある」。その思いがバットを目いっぱい長く持たせた。 【勝ち越しソロを放つ習志野・桜井】 明豊の2番手・大畑の直球を狙っていた。2ボール1ストライクから139キロの真ん中高めの直球。見送ればボールだった球に「体が反応した」と芯で捉え、ライナーで逆風を切り裂いて右翼席へ運んだ。公式戦初本塁打に「信じられない」と右腕を何度も掲げ、ダイヤモンドを回った。 チームの持ち味は、バットを短く持って食らいつく打撃と、相手の隙(すき)を突く走塁。この日も3点を追う三回2死一、三塁で重盗を成功させて得点した。だが、六回2死一、三塁では一塁走者がわざとリードを大きく取り、投手にけん制球を投げさせて三塁走者を本塁に突入させるトリックプレーを試みたが、見破られて失敗。手詰まりの中、毎朝5時半から素振りをしてきた2年生の4番打者が、自らの判断でバットを長く持ち、値千金の一発を放った。 「いや、いや……。余計なことをしなくてもよかった」と小林監督も笑うしかない。桜井は「あと1勝を欲を出して取りたい」と誓う。チームは監督の手を離れた時に強くなるという。市立校は勢いに乗ったまま、千葉勢初のセンバツ制覇に挑む。【生野貴紀】