アジア株式市場、香港や韓国などは下落もマレーシアなどが上昇 ~先月のアジア・マーケットを振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
中国<マクロ経済動向>
⇒需要不足が継続 ◆製造業PMIが引き続き50割れ 製造業購買担当者景気指数(PMI)は1月に市場予想を下回り、49.2となった。需要不足が深刻化した影響とみられる。また、製品価格指数が引き続き50割れとなったことから、多くの製造業では原材料費用など調達コストが上昇しても、製品価格に転嫁することが難しい状況が続いている。この点が製造業発の低インフレをもたらしているとみる。2月には春節休暇があるため、2月の製造業PMIは49.0を下回る可能性が大きい。 ◆低インフレ圧力が高まる 10-12月期のGDPデフレーターは前年同期比▲1.4%と、7-9月期の同▲0.8%からマイナス幅が拡大し、3四半期連続でマイナスの伸びとなった。2023年の年間値では前年比▲0.5%と、2009年の同▲0.2%以来のマイナスとなった。GDPデフレーターで見ると、低インフレ問題は更に深刻化している。需要不足を背景に需給ギャップが拡大していることが、低インフレ問題の主因と考えられる。 一方、需要不足に対して、景気モメンタムを確保するために生産を増加する形で対処するならば、財市場では需給ギャップが拡大し、低インフレ圧力が強化されることになる。この点は、低インフレの輸出を通じて、先進国の財市場のインフレ圧力の低下に貢献していると解釈することができる。 ◆住宅価格の下落基調が続く 国家統計局が取りまとめている70都市の中古住宅価格を見ると、12月も新築・中古双方ともに引き続き下落した。住宅価格の下落基調が長期化することによって、家計部門の資産価値が目減りし、需要不足をもたらす構図が今後も続きそうだ。 (2024年2月7日) 石井 康之 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフリサーチストラテジスト ※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。 ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アジア株式市場、香港や韓国などは下落もマレーシアなどが上昇 ~先月のアジア・マーケットを振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】』を参照)。
石井 康之,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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