モスクワのテロ死者137人に-プーチン氏はウクライナの関与示唆
(ブルームバーグ): ロシアのモスクワ郊外にあるコンサート会場で22日夜発生したテロ攻撃で、死者は少なくとも137人に達した。ロシアは24日を服喪の日とした。過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したが、ロシア当局者は依然ウクライナの関与を示唆している。
事件の調査委員会はテレグラムで、犯行現場の捜査が続いていると説明した。これまでに62人分の遺体について身元が特定された。
ロシア国民は献血の列に並び、襲撃された会場「クロッカス・シティー・ホール」の外に設けられた仮設の祭壇に、大勢の人が花やろうそくを供えた。
主要な空港や鉄道駅で警備が強化される中、市民は犠牲者を追悼するために各地に集まった。テレビでは娯楽番組の放送が中止された。
プーチン大統領は23日のテレビ演説で、ウクライナに逃亡しようとしていた4人の容疑者を拘束したとロシア国民に語った。プーチン大統領はウクライナ当局の関与に直接言及はしなかったが、容疑者らがウクライナへの国境を越えるための 「窓」が用意されていたと述べた。証拠は示さなかった。
ウクライナはいかなる役割も否定し、ロシア政府による偽旗作戦だと主張した。犯行声明を出した「イスラム国」は襲撃を行ったとする4人の写真をその後テレグラムに掲載。さらに、コンサートホールで発砲し、ナイフで1人を殺害しているとされる動画も追加で公開した。
モスクワでのテロの犠牲者数としては、2002年にチェチェン共和国の分離主義者らによる劇場占拠事件以降で最大となる。22日の襲撃は、プーチン氏が大統領選挙で87%の得票率で5期目の当選を決め、ロシアへの支配を固めた数日後に起こった。
米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は23日の声明で「この攻撃はISの単独犯行だ。ウクライナの関与は一切なかった」と強調した。
同報道官は、米国が3月上旬に「モスクワでテロ攻撃が計画されている」という情報をロシアと共有していたとし、在モスクワ米大使館が7日に公開した「過激派がコンサートを含むモスクワの大規模な集まりを標的にする差し迫った計画を持っている」との警告を指摘した。