「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」開催。2025年の箱根駅伝に登場するレーシングシューズを試す
箱根駅伝も目前。ナイキの新作レーシングシューズ「EKIDEN PACK」コレクションを軽井沢で試走した。 【写真を見る】「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」の様子をチェック
一流の道具であること
11月、ナイキが主催するメディアキャンプ「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」が開催された。2024-2025年の駅伝シーズンに向けて発売中の「EKIDEN PACK」コレクションの試走会だ。名城大学女子駅伝部から米田勝朗監督、主将の谷本七星選手、米澤奈々香選手、東洋大学陸上競技部長距離部門から酒井俊幸監督、主将の梅崎蓮選手、石田洸介選手も参加し、シューズについて直接質問できるほか、一緒に走ることができる貴重な機会となった。 1日目は、プロダクトブリーフィングを「ししいわハウス軽井沢」で行う。ここは第1棟と第2棟を坂茂、第3棟を西沢立衛が手掛けたリトリートだ。ナイキらしいデコレーションが目を引く。 その後、メディアチームは着替えを経て競技場へと移動した。名城大学の選手たちによるウォーミングアップとストレッチ、そして東洋大学の選手たちの動き作りドリルを体験。その後、トラックでの800m走を実施した。目標タイムごとに3組に分かれ、名城大学と東洋大学の選手たちがペーサーを務めた。1周目はペーサーについて走り、2周目はフリーというスタイルだ。 「EKIDEN PACK」コレクションは、レース本番用から日々のトレーニング用まで、幅広いレベルのランナーをサポートするラインナップとなっている。レースシューズとして、これまでのランニングの常識を大きく変え、様々な記録を打ち立ててきた「ナイキ アルファフライ 3」と「ナイキ ヴェイパーフライ 3」。さらに、前足部のエア ズーム ユニットとクシュロン 3.0 フォームを搭載し、新しく進化した軽量で薄型の「ナイキ ライバル フライ 4」、そして日々のトレーニングからレース当日にも対応するように設計されたレーシング&トレーニング用ハイブリッドシューズの「ナイキ ズーム フライ 6」が含まれている。 今回、試した「EKIDEN PACK」コレクションの「ナイキ アルファフライ 3」は、機能面ではインラインのモデルと変わりはない。そしてこのシューズ自体、レース用として機能面ですでに完成の域に達しており、これ以上の劇的な変化は予測し難い。しかし、プロダクトブリーフィングで各選手より見た目の良さの指摘が多々あり、今回のような視覚的なデザイン変更は、ランナーのモチベーションに直結する重要な要素だと感じた。月間走行距離50kmほどの筆者にとっては、「EKIDENPACK」コレクションではオンリストされていないが「ナイキ ペガサス プラス」がちょうどよいバランスだとあらためて噛み締める。過ぎたるはなお及ばざるがごとし──これは、ナイキの最先端レーシングシューズがいかに先鋭化されているかを実感させられた瞬間でもあった。 「シューズ選びは各自に任せています。ただし、トレーニング中にフォームの不安定さが見られた場合は、別のシューズを試してみてはどうかと提案することもあります」と東洋大学の酒井監督は述べていた。 2日目は、午前中にNRC(Nike Run Club)のコーチによる、スペシャルなストレッチと軽いウォーミングアップが行われた。神経系や不随意筋にアプローチするような内容で、低強度なのに難易度が高い。とくに目を閉じて行う種目は難しく、興味を掻き立てられた。その後、1日目とは別の競技場へと移動する。そこで約300mのコースを使用したミニ駅伝が実施された。前日の800m走のタイムをもとに、6つのチーム(1チーム4人編成)に分けられた。チームで20周する駅伝で、区間配置やそれぞれが何周するかはチームに委ねられた。1人最低3周、名城大・東洋大の選手は最大4周という設定で公平性を保つ。 今回の「EKIDEN PACK」には、駅伝が誕生して間もない頃に、夜道を走るランナーのために道を照らしていた松明の炎からインスピレーションを得たファイヤーパターンのグラフィックが取り入れられている。また、この炎のデザインは、2002年のエア ストリーク スペクトラム プラスでも使われており、日本の駅伝ランナーの意見を聞いてデザインされたストリークシリーズの伝説的なモデルとして知られている。 ミニ駅伝で、自分が参加したチームは4位だった。結果はさておき、フライプレートの反発力がすでにハムストリング、前脛骨筋を中心に響いているのがうっすらわかる。このシューズのポテシャルを最大限に引き出して、箱根駅伝を疾走する選手がいるかと思うと、それだけでレースの見方が変わる。開催日まであとわずかだ。
編集と文・岩田桂視(GQ)