SDGs実現や今後の展望に意見交わす ふくしま産業賞10回記念シンポジウム 福島県郡山市
ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)の10回記念シンポジウムは11日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開かれた。過去に知事賞を受けた企業の代表らが国連の持続可能な開発目標(SDGs)実現に向けた役割や今後の展望について意見を交わした。 第5回で知事賞を受けたふたば(富岡町)社長の遠藤秀文さん、第8回に受賞した日東紡(本店・福島市、本部・東京都)上席執行役電子材料事業本部副本部長の梶田明正さん、第9回に受け、双葉町に工場を構える浅野撚糸(岐阜県)社長の浅野雅己さん、タレント長沢裕さん(伊達市出身)、産業賞専門委員で、ふくしま女性起業家活躍推進協議会長の重巣敦子さんがパネリストを務めた。 遠藤さんは東京電力福島第1原発事故の被災地の課題解決を図っていると語った。「社会コンサルタント業として復興を目指す。人間力がある人材を育てて貢献する」と述べた。 梶田さんはガラス繊維の製造過程で二酸化炭素(CO2)削減に取り組んでいるとした。「学校の見学受け入れや出前授業を実施し、地域との共生に力を入れている」と語った。
浅野さんは「双葉工場で24人を雇用し育てている。地球に優しい取り組みを続ける」と強調。吸水性に優れたタオルを製造しており、今月下旬に画期的な製品を発売すると明かした。 長沢さんは県内には優良な中小企業がたくさんあり、世界に素晴らしさを発信しようとする気概があると話した。「企業や人の情熱がSDGsの実現につながる」と期待した。 重巣さんは県内で女性が起業を目指す機運が高まっているとし、女性の視点を取り入れることが重要とした。「多様性を認め合うことで持続可能な成長をもたらす」と話した。 シンポジウムに先立ち、主催する福島民報社の芳見弘一社長が「これまでに280以上の企業や団体をたたえてきた。素晴らしい取り組みを知ってほしい」とあいさつした。産業賞選考委員の松本雅昭県商工労働部長は「人口減少が進む中、活力を生む企業は地域の誇り」と述べた。全国の中小企業を支援するよい仕事おこしネットワークの事務局を務める城南信用金庫(東京都)の川本恭治相談役は「全国の信金でつくるネットワークを通して取り組みを発信し続けたい」と語った。
産業賞は2015(平成27)年度に始まり、優れた事業を展開している企業などをたたえている。今回で10回目となり、31日まで応募を受け付けている。シンポジウムは「ふくしまSDGs未来博」と同時開催された。