欧州大手航空機メーカー「新型機開発やめます」なぜ? 「どこでも飛べちゃう」高スペック機…日本でも導入濃厚も
「滑走路短くてもOK」の強みが…
ヨーロッパの航空機メーカー、ATRは、開発を進めていた新型ターボプロップ旅客機「ATR42-600S」の開発を中止すると発表しました。この機体はどのようなものだったのでしょうか。 【写真】どう違う? ATR42-600S、既存機からの改修ポイント ATR42-600Sは、JAL(日本航空)グループのJAC(日本エアコミューター)やHAC(北海道エアシステム)などでも導入されている「ATR42-600」の派生型です。型番末尾の「S」は文字は「STOL」の頭文字をとったもので、短距離離着陸に対応したサブタイプです。 ATR社は同機のスペックについて、ATR42-600より約250m短い800mの滑走路でも離着陸が可能であるほか、横幅14mの狭い滑走路や、5.5度(通常は3度)の急角度着陸進入、高い標高(最大3350m)や摂氏マイナス45度から55度の気温の空港への離着陸にも対応しているとしていました。テスト機は2022年に初飛行に成功。その際には、2023年に各種証明を取得する段階へ移行予定とされていました。 同社は今回の開発中止について「市場調査とサプライチェーンの緊張が長引く状況を踏まえ、ATRは現在の製品の競争力をさらに高めることに注力する」とし、「当初の予測と比較して、この機種の対象市場が縮小していることがわかった。たとえば東南アジアでは、主に滑走路の延長や近隣の代替空港の建設により、STOL対応機を必要とする対象空港の数が大幅に減少しており、この傾向は他の主要な対象市場でも同様だ」としています。 なお、国内では新潟空港拠点のリージョナル(地域間輸送)LCC(低コスト航空会社)、トキエアがATR42-600S導入に関する取引意向書を締結。将来的にこのモデルを導入すると見られていました。
乗りものニュース編集部