昨年選手権4強の堀越を撃破 日大豊山サッカー部、関東大会出場を弾みに高校の看板運動部に栄達できるか
4月29日に行われた令和6年度関東高校サッカー大会東京予選準決勝で、伏兵の日大豊山が優勝候補の堀越を1-0で下す殊勲の白星を挙げた。関東高校大会出場と決勝進出は、チームにとって初の出来事。試合終了の瞬間、喜びと興奮に沸き返った。 【フォトギャラリー】堀越 vs 日大豊山 堀越は東京A代表として、昨年末から新春にかけて開催された第102回全国高校選手権で脚光を浴び、初のベスト4まで躍進した強豪だ。 右から主将の竹内利樹人、森奏、渡辺冴空、瀬下琥太郎で編成する守備ラインにアンカー渡辺隼大、攻撃の枢軸となるMF仲谷俊の6人が全国高校選手権4強のレギュラー。さらにMF谷口悠成とFW小泉翔汰も途中出場しており、昨季の経験者が8人も先発に名を連ねたのだ。 日大豊山はこの豪華な陣容に、いったいどんな戦略で立ち向かおうとしたのか。海老根航監督は「前半を0-0でいって(ハーフタイムに前半の課題などを)修正し、後半に1点取りたいと考えていました」と作戦の一端を明かした。 相手に点をやったら苦しくなる。失点ゼロベースでの戦いを想定し、球際の攻防やボールへの出足で競り負けず、守備の背後を取られないポジショニングとカバーリングなど、多くの対応策を要求された難しい1戦となった。 序盤から堀越の小泉と岩﨑晄芽の両ウイングに外からチャンスをつくられ、いつ失点しても不思議ではない危機が何度も到来した。 前半11分に岩﨑、20分には小泉に目を覆いたくなるような一撃を打たれたが、石田悠太郎と丸山修史のCBコンビがこの2本に素早く体を寄せてブロック。追加タイムのFW高橋李来の強列なシュートも、GK髙橋謙心が抜群の反応を見せて防御した。 シュートにまで至らなかったものの、最大のピンチは前半12~13分に訪れ、マークをはがされてはゴール前で短いパスを次々につながれた。ちょっとした判断ミスや出足の一歩で劣っていたら、ゴールを割られていたかもしれない。しかし日大豊山の集中力はすごかった。 守備陣を中心に辛抱強い応対を続けていると、この労に報いようとする攻撃陣からご褒美が届いた。 6分あった前半の追加タイムもほぼ終わりかけた頃だ。 FW高岡佑吏が攻め上がった快足の左SB大根悠資にプロ顔負けのスルーパスを通した。大根は2人のマーカーに挟まれながら左を突破すると、シュート性のクロスを放り込む。GKが弾いた。これを拾ったFW作道海斗は、「ボールがこぼれてくるような感じがしていた。すぐに回収しワンタッチでゴール右に蹴り込みました。うれしかった」と冷静に振り返る。 作道は都立片倉との1回戦に続く2点目。「今日はサイドで仕掛け、中に入った時は守備の裏を突くことを求められました。ディフェンスが頑張っていたので何とか取りたかった」と、大きな仕事をやり遂げた感想を口にした。