昨年選手権4強の堀越を撃破 日大豊山サッカー部、関東大会出場を弾みに高校の看板運動部に栄達できるか
問題はまだ40分以上もある後半だ。堀越の攻勢は前半と同じように続いた。3分、14分、20分、23分、24分、27分……。このうち3度あった絶体絶命の危機を守護神・髙橋が、ビッグセーブで救った。中列後方では平間右庵が、激しい当たりと1対1で強さを発揮し、ピンチの芽を次々と摘み取った。堀越のキーマン、仲谷にもそう多くの決定的な仕事をさせなかった。 5分の追加タイムが終わり、サッカーでは最も難しい1-0というスコアで勝利した。 関東大会初出場に心を躍らせる海老根監督は、「粘り強くよく守り、よく走った。最後まで本当によく走ってくれました」と満面に笑みを浮かべながら勝因を述べ、「予想以上に前半をいい流れで折り返せた。縦に入るボールに対しても、きちんと対応できました」と、くたくたになるまでファイトした選手を称えた。 指揮官が「うちの守備の中心でありチームの核、豊山の遠藤航です」と評するのがボランチの平間だ。 リバプールの日本代表MF遠藤は、球際の争いとフィジカルコンタクトの強さが最大の持ち味。平間に監督の言葉を伝えると「うれしいです。遠藤さんのプレーを参考にし、イメージもしています」と喜んだ。 “ここから先には行かせないぞ”といった佇まいでボールの奪い合い、こぼれ球の競り合いに真っ向から挑んだ。「自分はプレーでチームを鼓舞するタイプ。仲谷君は試合前から気にしていたし、やられるかなとも思ったけど2人(がかり)でも止めようと考えました」と敵の大黒柱を封じて笑顔が広がった。 就任13年目で念願のひとつをかなえた海老根監督は、「関東大会にはうちが勝ったチームにも恥ずかしくないチームとして臨みたい」と意気込みを語った。 日大豊山の水泳部は古くから全国区の強豪で、硬式野球部は2000年夏の甲子園に初出場した。サッカー部がこれを弾みに高校の看板運動部に栄達できるか-。 (文=河野正 写真=矢島公彦)