大統領選・議会選全敗の民主党 内輪もめで離れる有権者 立て直しへの機運盛り上がらず ポトマック通信
米国で11月5日に実施された大統領選、上院選、下院選の全てで民主党は共和党に敗北した。バイデン大統領の政権与党だった民主党にとって、食品や居住費の高騰などに苦しむ有権者の不満で厳しい戦いだったことは間違いない。 ただ、党の有力議員や執行部が総括すべきことがある。一般党員らの予備選などで党の大統領候補に選んだバイデン氏を議員が引きずり降ろしたことだ。 バイデン氏が6月のテレビ討論会で精彩を欠くと、議員から大統領選で共和党のトランプ前大統領に敗れるとして撤退圧力がかかった。ただ、米政府関係者の一人は「上下両院選で落選や多数派を失うことを避けたい議員の思惑だ」と指摘する。日本でも、首相の不人気で落選することを嫌う議員が首相降ろしに走る。 バイデン氏が撤退を決断するまでの党内対立は連日のように報道され、「醜態をさらす民主党から無党派層が離れるのは当然だ」と振り返る人もいる。 バイデン降ろしの中心的存在だったペロシ元下院議長は選挙後、バイデン氏が「早く撤退していれば」と不満を漏らし、内輪もめのイメージをさらに強めてしまった。一方で、惨敗から党を立て直そうという機運は盛り上がっていない。 トランプ氏に敗れたハリス副大統領の演説を涙ながらに聞く支持者と議員の間にある溝を感じた。(坂本一之)