「自分たちは台湾人」「台湾を好きになって」 台湾人観光客がねがう、日本人からの配慮とは?
2024年9月に日本を訪れた外国人旅行者は287万人を超え、月ごとの過去最多を更新した。自動車などに次ぐ外資獲得産業として期待されるインバウンド(訪日客消費)市場において圧倒的な存在感を放つのが、台湾からの観光客だ。 親日国の代表格でもある彼らが日本に願うのは「台湾を個別の国として尊重すること」だ。その背景について、台湾ビジネスに詳しい台北経済新聞編集長でカケハシ社CEOの秋山光輔から話を聞いた。
「台湾人」であることを尊重する大切さ
──台湾の方の訪日旅行の満足度を上げるために、特にどんなことに気を付けるべきでしょうか? 台湾の方が抱えた思いを汲んであげることです。 台湾の人には、非常にシンプルな心根があります。それは「台湾に関心を持ってほしい」気持ちです。 台湾は、世界の強国である中国と対立し、中国とは異なる言語や考え方をあえて維持し続けてきた国です。 「自分たちは中華圏にはいるけれど、中国人ではない。自分たちは台湾人であり、同一視しないで欲しい」ということを、日本を含む外国を訪れる台湾人は常に気にされています。 たとえば、海外でスーツケースを持って電車に乗ったら、台湾国内にいるときよりも静かにするよう努めます。 集団でしゃべっていると、海外の方は台湾なまりか北京なまりかなんてわからないわけですから「うるさい中国人」となってしまうわけです。「中国人だと思われたくない」気持ちで、台湾人は海外旅行においては特に静かにするよう気を遣ってらっしゃいます。 「確かに同じ文化圏にいるけれども、中国人ではなく台湾人であると認めて欲しい」。この、台湾人の痛切な思いは日本人にはなかなか理解しにくいかもしれません。しかし、台湾の人にとっては潜在的にも表面的にも強い欲求として存在しています。 この思いを組んだサービスであったり、声掛けをすることは台湾向けインバウンド需要を取り込むうえで大きなポイントとなってくるでしょう。