稽古の成果、力強く 初心に戻った豊昇龍―大相撲九州場所
序盤戦の取りこぼしが目立っていた豊昇龍だが、今場所はひと味違う。 1月の初場所以来、5場所ぶりとなる2連勝発進に「久々だね」と不敵な笑み。充実した稽古を積んだ成果が表れ、「いい感じ」と手応え十分に言う。 返り小結の若元春との結び。鋭い踏み込みから突き起こし、まわしにこだわらず前に出る。いなしで崩して体を入れ替え、相手を土俵下へ吹っ飛ばした。「落ち着いて自分の相撲を取ろうと思っていた」。初日に続いて力強い取り口だった。 9月の秋場所は千秋楽でようやく給金を直し、厳しい評価を受けた。中でも「前に出ない大関って言われたのが一番嫌だった」と明かす。普段は稽古についてあまり口を出さない師匠の立浪親方(元小結旭豊)から「四股、すり足だね」と一言。初心に戻り、基礎運動を徹底してきた。 先場所後にあった元東龍の断髪式に出席。モンゴルの先輩から「稽古はうそをつかない」と声を掛けられ、「その言葉が好きになった」としみじみ言う。大の里が昇進し、先輩大関として意地を見せたいところ。「集中してやりたい」。そう話す鋭いまなざしは、頼もしさが増したようだった。