【博多ストーカー殺人】「禁止命令」が出されていた男 2人の出会いから事件当日の時系列 検察の冒頭陳述を詳しく 福岡地裁
そして、事件当日の2023年1月16日。寺内被告は手提げバッグに包丁を入れ、自宅を出ました。 午後6時1分、川野さんは勤務先の会社を出て、家族にこれからJRで帰宅する旨のLINEメッセージを送信しました。 午後6時3分、寺内被告は福岡市博多区の歩道で立ち止まり、川野さんを待ち伏せします。 午後6時6分、帰宅途中の川野さんを発見して近づき、川野さんの傘に自分の傘をぶつけ「おい」などと声をかけました。この様子は近くのホテルの警備員が目撃していたといいます。 そして、博多駅に向かって歩いていた川野さんに173メートルにわたりついていきました。その間、警察に被害申告したことへの文句を言い、謝罪を求めるなどしました。 午後6時13分、川野さんから「離して、しつこい。警察で話そう」と言われ激高し、殺意を持ってバッグから包丁を取り出しました。正面に立っていた川野さんに対し、逆手に持った包丁を振り下ろして胸を突き刺し転倒させ、うつ伏せの頭、首、背中などを少なくとも17回突き刺しました。 これを通行人が一部、目撃していました。 川野さんは多数刺切創による失血で、その場で死亡が確認されました。 寺内被告は包丁をバッグに入れ、その場から逃走しました。 以上は、検察による冒頭陳述の内容です。
その上で、検察は2つの争点について次のような主張を展開しました。 1つめは、ストーカー規制法違反が成り立つかどうかについてです。 寺内被告が川野さん殺害の直前に職場近くの路上に立ち止まり、その後、博多駅に向かって歩く川野さんについていったことが「待ち伏せ」や「つきまとい」に該当するかどうか。 弁護人は寺内被告が川野さんと接触したのは偶然だったと主張するが、果たしてそうか。川野さんと会えると予想・期待していたのではないかとして、以下の要素に着目してほしいと指摘しました。 ▽立ち止まっていた時間の長さや場所、時間帯 ▽川野さんとの関係や、これまでの経緯 ▽川野さんについていった距離 ▽川野さんに対する言動
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