センバツ甲子園 福大大濠 大舞台でリベンジ /福岡
第93回選抜高校野球大会第3日の22日、福大大濠は1回戦で大崎(長崎)と対戦、2―1で接戦を制し初勝利を挙げた。エースの毛利(3年)は10奪三振で完投。チームは昨秋の九州地区大会決勝では大崎に敗れたが、センバツの大舞台でリベンジを果たした。2回戦は大会第7日の26日第2試合(午前11時40分開始予定)で具志川商(沖縄)と対戦する。【大坪菜々美、林みづき】 ◇アルプス歓喜に沸く ▽1回戦 福岡大大濠 020000000=2 000000100=1 大崎 雨天順延となった21日とはうって変わって青空が広がった甲子園球場。試合は序盤から動いた。二回1死二、三塁で打席に立ったのは九州地区大会で「打撃が不調だった」と話した松尾(3年)だ。「次の打者へつなぐ意識で」中前適時打を放ち、2点を先制した。アルプス席で息子を見守る母明気子さん(46)は「打ってくれると信じていました」と声を詰まらせた。 左腕エースの毛利は「九州地区大会の大崎戦は登板した後輩がやられている。その借りを返す」と言う気持ちでマウンドに上がった。六回まで1安打に抑えていたが、七回2死一、二塁で捕手の川上が要求したチェンジアップに首を振り、得意のストレートを打たれ1点差に。その後、川上が二塁走者をけん制で刺し、追加点の機会を与えなかった。 毛利の母洋美さん(50)は「みんなに助けてもらっている」。九回2死、143球目の打球は中堅・松尾のグラブに収まり、アルプス席の観客は歓喜に湧いた。福大大濠ナインは試合後スタンドに向けて一礼し、やりきった表情を見せた。 ◇メガホン振り力いっぱいエール ○…えんじ色に染まったアルプス席では、駆けつけた保護者や生徒約600人がメガホンを手にエールを送った=写真。1点差に追いつかれた七回終了後、応援指導部の団長、前田空輝(そら)さん(3年)は「本当にドキドキします。何とか頑張ってほしい」。龍(りゅう)翔人さん(同)も「音と応援の気持ちを届けたい」と録音された音源に合わせ、力いっぱい太鼓を響かせた。勝利の瞬間はチームカラーのメガホンが揺れ、スタンドは大きな喜びに包まれた。 ◇積み重ねた努力実る 友納周哉三塁手(2年) 一回表1死から初安打を放つと、三回にも先頭打者で右前二塁打。得点に絡むことはなかったが、3打数2安打とチーム唯一の複数安打で、攻撃に勢いをつけた。 昨秋の大会は4割4分4厘とチーム上位だが、身長168センチで小柄な体格なだけに長打を打てるパワーがなかった。「体を大きくしたい」。冬は母親が作った拳ほどのおにぎりを授業の合間に6個食べ、練習が終われば自宅にあるダンベルで筋トレに励んだ。体重は6キロ増の63キロになった。ここ一番の大舞台で積み重ねた努力が実った。 三塁コーチャーをする川本康平主将(3年)は「友納は緊張しやすいので打席に入る前は俺をみろと言っている」と話す。今試合でも三塁コーチャーとして友納に声をかけた。「自信をもってプレーしてほしい」。友納は「次の試合までにバッティングで調子を上げたい」と更なる活躍を誓う。【大坪菜々美】 〔福岡都市圏版〕