早ければ今夏に運転再開? 原発再稼働の流れとは
運転再開の重要ポイントは活断層の有無
新規制基準によると、原発再稼働の判断において、活断層の存在が大きなポイントです。これは地震による揺れに加え、活断層が動いた際に生じる地盤の押し上げ力の大きさを予測することが困難なためです。 そもそも活断層とは、地殻に大きな力が働いたことで地層や岩盤が破壊され、これに沿って地層がたがいにずれたもの。近い時代まで活動しており、将来も活動する可能性がある断層と定義されています。この「近い時代」に厳密な規定はありませんが、これまで重要施設が直上にあることを禁じるとされた活断層の基準は約12万~13万年前以降。しかし、活動性が不明の場合は約40万年前以降まで遡って評価することが定められました。ただし、40万年以降に設定すべきなのか否かは、専門家の間でも意見が割れているようです。 現在、九州電力川内原発(鹿児島県)について、周辺の断層を調査している市民団体と新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)は活断層の存在を指摘。九電に提出し、詳しい調査を求めています。ほか、北陸電力志賀原発(石川県)直下の断層に活断層の疑いが指摘され、2月に原子力規制委員会が調査を実施。今月中にも有識者会合を開き、原子炉建屋直下の断層が将来活動する可能性があるかについて議論します。さらに、県の専門委員会が今月から同じ場所で調査に乗り出すなど、活断層の有無を巡っては慎重な調査が進められています。
再稼働までの手続きの流れ
原発の再稼働は、図の流れで進められます。今年1月、新規制基準の適合性審査を申請した9原発16基のうち、先行して審査された6原発10基が合格する見通しとなったことが明らかになりました。早ければ今春には審査をクリアし、自治体が合意すれば夏には再稼働となる原発が出てきます。 共同通信社が実施したアンケートによれば、全国の原発半径30キロ圏内にある156自治体のうち、審査を終えた原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても37自治体で2割強。「判断できない」と答えた自治体は約4割の66自治体でした。 (南澤悠佳/ノオト)