早ければ今夏に運転再開? 原発再稼働の流れとは
政府は先月末、国の中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー計画」案を明らかにしました。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、「再稼働を進める」ことを明記。3月中の閣議決定を目指しています。ベースロード電源とは、時間帯や季節に左右されず、一定の電力を供給する電源のこと。かつて民主党政権が掲げていた「2030年代の原発稼働ゼロ」を転換し、原発に重きを置いた方針を示しました。 【図表】全国の原発の場所と総電気出力は? 再稼働は安全基準に適合した原発が対象ですが、そもそもその安全性はどのように判断するのでしょうか。いま一度、原発再稼働までの流れをおさらいしてみましょう。
再稼働の安全性を審査する新規制基準
昨年7月、原子力発電所の安全性を判断する新たな規制基準が施行されました。新基準は東京電力福島第一原発事故の教訓をもとに作られ、電力会社任せだった重大事故対策を「義務」とし、地震や津波への備えを大幅に強化。さらに、重要施設の直上設置を禁じる活断層については、場合によっては40万年前までさかのぼって評価することを基準にしました。 【新規制基準で求められる対策】 <重大事故対策> ・フィルター付きベント装置(沸騰水型のみ) ・免震機能を持つ緊急時対策所 ・電源車やポンプの配備 ・燃えにくい電源ケーブルを使用 ・航空機墜落などのテロ対策 <地震・津波対策> ・活断層は最大40万年前の地層を調査 ・活断層が直下にあれば運転を認めない ・最大級の「基準津波」を想定 ・浸水を防ぐ防潮堤や水密扉の設置 上記の対策以外に、原発の稼働期間は運転開始から原則40年に制限することも盛り込まれています。ただし、特別点検で老朽化を詳細に把握し、新基準に適合すれば例外的に1回限り最大20年の運転延長が可能です。 また、すでに運転許可を得た施設に対しても、新たな基準への適合を義務付ける「バックフィット制度」を導入。最新の技術的知見を既存設備に取り入れるよう明記し、基準を満たさない場合には運転停止(廃炉)を命じることができます。