器用でなくても全力…高校時代から知るバレー女子日本代表セッター、海外挑戦のセナへ「誇り高く走り続けて」【迫田さおりさんコラム】
地道に「根」を太く、強く
ここからは愛称の「セナ」で呼ばせてください。どんな状況でも「誇りを持って踏ん張っているところ」が彼女の魅力です。パリ五輪の出場切符がお預けとなった昨秋の予選の後、女子日本代表の眞鍋政義監督はこう呼びかけたそうです。「負けた悔しさを持ち続けられる選手が最後に勝つ」―。セナはその言葉をずっと忘れずにいたに違いありません。 足りない部分を考え、補う努力を積み重ねながら、成長してきました。東レは石川選手らが在籍した昨季まではレフト側からの攻撃が目立ちました。今季は逆のライト側に外国人選手をエースとして配しました。苦しい戦いの中でも懸命にトスを上げ続けたセナの「踏ん張り」もあり、その選手は得点王に輝きました。 女子日本代表の活動も今後本格化します。五輪のコートに立てるかどうかは、6月中旬の世界ランキングで決まります。選手は出場権獲得の重圧と闘うとともに、代表の最終メンバーに残るための競争にも身を置くことになります。地道に「根」を太く、強くしてきたセナのことです。もがきながらも、目の前のことに対して、一つ一つ丁寧に向き合ってくれることでしょう。誇り高く、走り続ける姿を見守っていきます。 (バレーボール女子元日本代表、スポーツビズ所属)
西日本新聞社