待ち合いでの休憩を受け入れる林敏也理事長（右）＝8月中旬、静岡市清水区の理容室「ヘアショップハヤシ」

　静岡県内で「熱中症警戒アラート」の発表回数が過去最多を記録する中、熱中症予防のために冷房の効いた休憩場所を提供する「クーリングシェルター」の導入が民間にも浸透しつつある。行政と連携した取り組みのほか、県理容生活衛生同業組合は、休憩場所として理容室のスペースを提供する取り組みを独自で始めた。 　県内では今夏、記録的な暑さにより熱中症の搬送者数が増加。7月は1248人（速報値）が搬送され、昨年同月の889人から359人増えた。改正気候変動適応法で熱中症警戒アラートより1段階高い「熱中症特別警戒アラート」の運用も今年から始まり、発表された時などに受け入れるクーリングシェルターの導入が加速している。 　シェルターは県内35自治体のうち28自治体が導入（14日時点）。多くは公共施設をシェルターとして指定している。一部自治体と協定を結んだウエルシア薬局（14自治体）や杏林堂薬局（9自治体）の店舗をはじめ、民間施設の指定も進んでいる。 　行政主導でない独自の取り組みとして、県理容生活衛生同業組合は今夏、熱中症予防に店舗内の空間を提供する「クールシェア」を始めた。県内約1300店舗に協力店であることを示すステッカーを配布し、店頭に貼っている。 　静岡市清水区の理容室「ヘアショップハヤシ」を営む県理容生活衛生同業組合の林敏也理事長は「理容店は街中に点在し、待ち合いスペースもある。『こども110番』のように、街を歩いていてふらっとしたら休んでほしい」と利用を呼びかけた。