大谷翔平とルース、偶然の一致 移籍元年打者専念24戦で5発 あるぞルース超え55発【ヒルマニア】
◆米大リーグ ドジャース10―0メッツ(21日・米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム) ドジャース・大谷翔平投手(29)が21日(日本時間22日)、松井秀喜を超える日本選手最多のメジャー通算176号に到達した。「勝つことが一番大事」とド軍移籍を決断した男にとって、最大目標はワールドシリーズ(WS)制覇。大谷とベーブ・ルースの共通点を「ヒルマニア」でひもとく。 * * * 大谷とベーブ・ルースの共通点は、シーズン2ケタ本塁打&2ケタ勝利の投打二刀流だけではない。メジャー7年目で大注目の移籍、打者一本で臨んだその年に、決していいスタートを切れなかったのも同じだ。 ルースは1920年、レッドソックスからヤンキースに、当時では前代未聞の金額が動く金銭トレードで移籍した。自身の自伝で「ニューヨークの新聞社が初めてキャンプに13人も記者を派遣した」と記したほどの大フィーバーだった。 だが、移籍元年のスタートは散々だった。キャンプでヤシの木に激突。その後遺症もあり、4月は9試合の出場で本塁打を1本も打てなかった。5月になって本塁打が出るようになったものの、チーム24試合消化時点で打率2割5分7厘、5本塁打、16打点だった。「シーズン20本打てるかどうか」と言われたほどだ。 だが、前年までの二刀流から打者に専念した好影響か、その後、5月末までの10試合に7本塁打で波に乗り、最終的には前年の29本のメジャー記録を塗り替える54本塁打をマークした。2位だったブラウンズ(現オリオールズ)の強打者、ジョージ・シスラーは19本。当時16球団のメジャーで、チーム全体でルース一人の本塁打数を上回ったのは、64本塁打のフィリーズだけという爆発力だった。 右肘手術明けの大谷も今季は打者に専念する。176本目を打ち、開幕24試合で5本塁打はルースと全く同じペース。この偶然に、今後の熱いSHO―TIMEを期待してしまう。(蛭間 豊章=ベースボール・アナリスト)
報知新聞社