「失敗が好きなの?」…4年間出場停止「ロシアの妖精ワリエワが号泣」選手を『材料』と呼ぶ女帝の素顔
〈スポーツ仲裁裁判所(CAS)に正義はない。クズなろくでなし! カミラは強くて、賢くて、美しくて、才能がある。クソ野郎ども!〉 【コーチに叱責され号泣!】それでも美しすぎる…ワリエワ「大開脚!」写真 ロシアのメディア『スポルトエクスプレス』に過激なコメントを発表したのは、荒川静香や浅田真央などのコーチを務め日本でも有名なフィギュアスケートの指導者タチアナ・タラソワ氏だ。彼女が怒るのは「ロシアの妖精」と呼ばれるカミラ・ワリエワ(17)へCASが1月29日に下した4年間の出場停止処分について。ワリエワには、’22年の北京五輪大会期間中にドーピングの陽性反応が出ていた。 「CASは『意図せずに摂取したとは証明できない』と厳しい処分を決定しました。一方、ロシア反ドーピング協会は薬物の使用は認めたものの、ワリエワに過失はなかったと主張。’21年のロシア選手権のみ失格とするよう求めていたんです」(スポーツ紙担当記者) 今回の騒動はワリエワ個人に端を発するものではない。厳しい指導で有名な、彼女のコーチで「女帝」と呼ばれるエテリ・トゥトベリーゼ氏の強い影響。さらにロシアスポーツ界全体の体質も問題視されているのだ。 『FRIDAYデジタル』は北京五輪開催中の’22年2月18日に、競技終了後にワリエワを号泣させたトゥトベリーゼ氏の叱責やドーピング疑惑について詳しく報じている。再録し、世界を巻き込んだ騒動の背景を振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。 ◆「なぜ諦めたの?」 「なぜ諦めたの? なぜ戦いをやめたの? 説明してちょうだい」 失意の少女に、コーチは容赦なかったーー。 ’22年2月17日、北京冬季五輪フィギュアスケート女子シングルはすべてのプログラムを終えた。ドーピング使用疑惑で世界中から非難されている、ロシアのワリエワはフリーでミスを連発。連続ジャンプで転倒を繰り返すなどして4位に終わる。圧倒的な強さでライバルから「絶望」と呼ばれるワリエワは、順位を知って泣き崩れた。しかし……。 「コーチのトゥトベリーゼさんは手厳しかったですね。ワリエワを慰めるどころか、リンクから戻ってきた途端に『なぜ諦めたの?』と厳しく詰問。ワリエワは明確に答えられず、悔しそうな表情で泣き続けていました。 1位、2位ともロシア勢でしたが、競技後は物々しい雰囲気に。銀メダルを獲得したアレクサンドラ・トゥルソワは、トゥトベリーゼさんからのハグを拒否し『こんなスポーツは大っ嫌い! もう氷の上には立たない』と報道陣に不満をブチまけ、こう続けました。『結果はまったく嬉しくない。幸せではない。今後についてはよく考えてから決めたい』と」(取材した記者) コーチのトゥトベリーゼ氏は、ロシアで「女帝」「氷の女王」と呼ばれる絶対的な指導者だ。門下生には’18年平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワや、同銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワなどそうそうたる選手が。だがトゥトベリーゼ氏の厳しい指導についていけず、脱落するアスリートは多い。 「トゥトベリーゼさんは練習場を『工場』、選手を『材料』と呼び、私生活まで徹底した管理指導をします。化粧の仕方、歩き方、話し方までです。北京五輪前にはロシアのテレビ局のインタビューに答え、次のように話しています。『厳しく指導しなければ、メダルなどとれない。選手が私の思いどおりにパフォーマンスしないと、とても悔しく感じ叱りとばす』と。 メドベージェワが練習中にジャンプでミスすると、『失敗するのが好きなの? なら、転倒するのを手伝ってあげるわ』と叱責しています。指導を受けたザギトワは、平昌五輪後に『いつも不安がある。燃え尽きた』と語り一時競技から離脱。昨年5月には、ロシアの強化指定選手から外されました」(同前) トゥトベリーゼ氏が生まれたのは、旧ソ連時代の’74年。ソ連崩壊後の’92年にアメリカへ渡りコーチとしての経験を重ね、’99年にロシアへ戻ってきた。 ◆下着をヒザの下までさげ…… 「トゥトベリーゼさんはシングルマザーで、娘のダイアナ・デイビスさんもアイスダンス選手です。コーチとしては、娘にも容赦ない。2歳の時からリンクに上げ、指導した通りに滑れないと大声で罵倒。おかげでデイビスさんは’21年12月のロシア選手権では2位となり、北京五輪出場を果たしました。選手を強くするためには、薬物の使用も辞さないと噂されていたんです」(スケート連盟関係者) 渦中のワリエワも、トゥトベリーゼ氏の指導で世界トップレベルのアスリートになった。だがドーピング騒動のため、ロシアのメディアに「ここ数日は感情的に難しい日々でした。精神的に疲れた」と語っていたほど疲弊。結局、4年間の出場停止処分という厳しい未来が待ち受けていたのだ。 「ドーピング使用の疑惑が解決していないにもかかわらず、大会に出場したことに世界中から批判が集まっていたんです。WADA(世界反ドーピング機関)が不服を申し立てCASに上訴したため、事態が長期化しワリエワは何度も検査を受けたとされます。 複数の選手の供述によると検査は屈辱的です。検体となる尿の採取は、同性の検査員が実行。他人の尿とすり替える恐れもあるので、実際に目の前で放尿しなければなりません。服は胸の上までたくし上げ、下着はヒザの下までさげてです」(前出・記者) 「大人の都合」に振り回されたワリエワ。ロシア側がCASの処分を不服とし上告すれば、事態はさらに泥沼化する恐れがある。
FRIDAYデジタル