23歳逸材が記録した「0.98」…圧倒的な数値で掴んだ栄冠 最下位西武に“浮上”の光
プロ2年目も、安定した投球に注目が集まる
6月は新型コロナウイルスに感染した影響で1試合の登板にとどまったものの、7月には4試合で28.2イニングを投じ、与四球はわずかに2つと圧倒的な制球力を発揮。防御率2.51、K/BB11.50と抜群の数字を残し、体調不良の影響を感じさせない投球を続けていた。 しかし、8月には2試合連続で6失点を喫するなど疲労の色が見え、月間防御率は年間ワーストとなる4.88と苦戦を強いられた。それでも、シーズン最終盤の9月に入ってからは月間防御率1.53と調子を取り戻し、9月16日の試合ではプロ初完封を記録。5試合で3勝とハイペースで白星を積み上げ、9月30日に8回無失点の快投を披露してシーズンを締めくくった。 プロ1年目ということもあってか気候の厳しい夏場に調子を落としたものの、それ以外の5か月はいずれも月間防御率2点台以下と、まさに安定感抜群の数字を残した。今季の経験を活かし、来季以降は夏場を調子を崩すことなく乗り切ることができるようになれば、さらなる好成績が期待できる可能性も大いにありそうだ。 抜群の制球力と被打率の低さによって、そもそも走者を背負う頻度自体が少ないという点が、武内投手の大きな特徴となっている。試合を作る能力の高さは優れたQS率にも示されており、所属チームが下位に低迷する中でも、援護点を高い割合で勝ち星に結び付けて2桁勝利を達成したという事実が、投手としての能力の高さを証明している。 夏場に調子を落とした2024年の反省を踏まえて、これから年間を通してコンディションを維持する方法を確立できれば、今季以上の好成績も期待できるはずだ。現時点で先発として非常に高い完成度を誇りながら、さらなる伸びしろも備えている大器。長身左腕が繰り出す切れ味抜群のボールに、今後もぜひ注目してみてほしいところだ。
「パ・リーグ インサイト」望月遼太