23歳逸材が記録した「0.98」…圧倒的な数値で掴んだ栄冠 最下位西武に“浮上”の光
パ・新人王はWHIP「0.98」
その一方で、奪三振率に関しては6.63と、やや控えめな水準にとどまっていた。この数字からは、多くの三振を奪って相手打線を力でねじ伏せるタイプではなく、持ち前の制球力を活かして丁寧に打たせて取る投球を展開していたことがうかがえる。 次に、奪三振を与四球で割って求める、制球力や投手としての能力を示す「K/BB」に目を向けたい。K/BBは一般的に3.50を上回れば優秀とされているが、武内投手のK/BBはリーグ2位の4.86という非常に優れた水準に達している。奪三振率が高い投手の方が有利な指標においてもハイレベルな値を記録している点も、制球力の卓越ぶりを示す要素だ。 また、本塁打を除くインプレーになった打球が安打になった割合を示す「被BABIP」に関しても、基準値の.300を大きく下回る.265という数字を記録。被BABIPは一般的に運に左右される部分が大きいとされているものの、被打率も.226と優秀な数字を記録しており、被安打を許す機会が少なかったという点は注目すべきポイントといえよう。 与四球と被安打がともに少ないという特徴もあって、1イニングごとに許した走者数の平均を示す「WHIP」も0.98と非常に優秀だ。1イニングで出した走者を1人未満に抑えていたことを示すこの数字は、武内の投球内容が極めて優れていたことを示すものでもある。 さらに、先発した試合でクオリティスタートを達成した割合を示す「クオリティスタート率(QS率)」に関しても、76.2%と優秀な水準に達していた。4試合に先発した場合、そのうち3試合以上の割合でゲームを作ってみせた武内投手の安定感は、プロ1年目から2桁勝利を挙げることを可能にした大きな要因にもなっている。 7回を無失点に抑えた4月3日のプロ初登板を皮切りに、4月は3試合の登板で月間防御率2.14と見事な投球を披露。さらに、5月には4試合で3勝、月間防御率0.63と圧倒的な数字を記録し、シーズン序盤からその実力がプロの舞台でも通用することを存分に証明した。