“コツコツが勝つコツ” 東口善朋は夢へ向かって試行錯誤「二人についていけばGIの表彰台も見えてくる」/特別インタビュー
■netkeirin連載コラム「ノンフィクション」東口善朋インタビュー/和歌山グランプリ注目選手
地元勢が大挙参戦する和歌山記念。総大将を務めるのは、やはりこの男だろう。68周年以来の制覇を目指す東口善朋だ。昨年はシリーズ3勝の地元地区の岸和田GI・高松宮記念杯をはじめ、キメ脚を武器にGI戦線で活躍を見せた。実力者がひしめく近畿地区において、マーク屋として着実に序列をあげている。東口の「目指す場所」やモットーの「コツコツが勝つコツ」について話を聞いた。(※インタビューは2023年12月の広島記念in玉野にて実施) ■2023年は「平穏で物足りない1年」 ーー2023年をふり返って、どんな一年でしたか? 東口 うーん、“平穏”でしたね。特別競輪の決勝に乗れているわけじゃないですし、準決勝でさえも2回だけ。物足りない一年でしたね。 ーー数字で見ると、年間30勝、GIでは7勝、優勝回数4回。昨年(16勝)や一昨年(19勝)に比べて、1着数字はかなり増えました。 東口 確かに、そうですね。ただ、走っているステージがFIってこともありますし…。やっぱり目指すところはGIのファイナルであり表彰台。目指すところを考えると「この数字では物足りないよな」っていうのが率直な感想です。 ーー常に高いモチベーションを維持できていますか? 東口 S級に上がってから、ずっと変わりませんね。テレビで見るんじゃなくて、特別競輪の現場を走って感じることがたくさんある。やっぱり、走ってみなきゃ分からへんところですからね。 ーー高松宮記念杯での取材の際に聞いた「運を引き寄せたい」という言葉が印象的でした。 東口 GIに出る選手はみんな当たり前のように練習をしっかりやっている人たち。それじゃあ、どこで差をつけるかってなった時に、ゴミを拾うとか、汚れているところがあれば綺麗にするとか。そういう小さなことの積み重ねが「流れや運を引き寄せる」ことに繋がるのかなって思っています。 ■やめるのは簡単、モチベーション続く限り走りたい ーースピード競輪化した今の競輪をどう感じていますか? 東口 もちろん、スピードの差は感じている。歳を重ねていくにつれて自分の脚力の“現状維持”は大事だと思っているけど、若い子は航続距離も踏めてスピードも上がっているので、その中で一つ一つの動作やレースでの瞬時の判断も重要です。そういう意識は練習でもレースでも、いつでも頭に入れて走っていますね。 ーー身近には近畿地区のツートップ・脇本雄太選手や古性優作選手がいます。 東口 あの二人の力は抜けている。でも、その二人に付いて行くことができれば、特別の表彰台も見えてくると思う。少しでも近づけるように、普段から試行錯誤しながらやっています。 ーー近畿全体で行われる合同練習や合宿には参加されますか? 東口 若い子らはやっているみたいですね。僕は合宿するような年齢でもないので、一つ一つの動作を確認しながらアマチュア選手がやるような練習をやっています。漠然とやるのではなくて、細かい動きをチェックしながらやる。やっぱり、年齢とともに体がなかなか思うように動かなくなってくるので(苦笑)。 ーー目指す理想選手像はありますか? 東口 もう44歳なので、自分が目指す選手はいてないですけど(笑)。少しでも地元の若い選手たちが自分の背中を見て、「こうなりたい」とか「もっと上で走りたい」とかGIを目指してもらえたら一番ベストかな、とは思っています。 ーー何歳まで現役など具体的な目標はありますか? 東口 そのあたりは全然、考えていないですね。「やーめた!」って言うのは、いつでも簡単にできること。だから、今のモチベーションが続く限りは走りたいです。 ーー選手人生で成し遂げたい「夢」を教えてください。 東口 やっぱり…、GIを優勝したい。そんなに特別の決勝に数は乗っていないけど、もう一度乗りたいです。※前橋・寬仁親王牌(20年)、いわき平・日本選手権(22年)にて決勝進出