マ軍の監督交代がイチローに与える影響は?
そうしたチーム状況にはイチローも戸惑い、最終戦の後、「想像しないことが起きる場所」、「びっくり箱みたいなチーム」と苦笑。となると、マッティングリー監督もそうしたゴタゴタに多かれ少なかれ振り回されるのだろうが、かといって、イチローの起用方に関しては、誰が監督になっても変わらないのではないか。 まず、ドジャース時代の起用方はあまり参考にならない。上からの押し付けがひどく、自由がなかった。マーリンズにもそういうところがあるが、外野陣に関してはそもそも動かしようがない。契約があと12年も残るジャンカルロ・スタントンがライト。レフトは、やはり今季の開幕前に7年契約を交わしたばかりのクリスチャン・イエリッチが入り、センターには、オズナ。この3人は、相手先発投手が右、左に関わらず、固定が基本なのだ。 仮にマッティングリー監督がイチローを高く評価していても、3人の誰かに代えて、イチローをスタメンで使うことは、今年のように故障、休養の場合に限られる。よってイチローの出場機会はやはり代打が主で、レギュラーの誰かが休養するときには、スタメン出場する、というパターンで変わりはない。 そこに変化があるとしたら、噂されるオズナのトレードが成立した場合。そうなればイチローは、デイトリッチと2人で相手先発投手に合わせて起用されると見られるが、トレードで外野手を獲得するならば、また話が違ってくる。よって年が明けるまで、イチローの具体的な使われ方は流動的だが、イチローにしてもそれは、再契約した時点で想定内だろう。 ただ、イチローにしてみれば、過去数年と比べると、役割は同じでも、やりやすいのではないか。 マッティングリーは、ヤンキースの打撃コーチだった2004年から07年まで、イチローを見てきた。対戦の時は、イチローの打撃練習にわざわざ顔を出した。あの時、イチローの打撃に興味があるとも話していたーーかつて、稀代のバットマンと呼ばれた一人として。 彼は、時間があれば、イチローの打撃論を聞いてみたいとも口にしていた。実現すれば、彼らにしかわからない高いレベルで、議論が交わされるのではないか。 そのマッティングリーの打撃論によると、「三塁ファールフライとホームランはわずかな差しかない」そう。「ポイントは同じ」。数センチ、いや、数ミリ、バットがボールの下をくぐることで結果に大きな差が出るーー。 今年は、5月に解雇されたものの、マイク・レドモンド監督も後任のダン・ジェニングス監督もイチローの理解者だった。来季はしかし、それ以上の理解者を得て、イチローはプレイすることになるのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)