大阪・新世界で自主清掃5年 元自衛隊員・人力車俥夫の生き方
自主的な活動が商店主らの心を打った
だが、こうした活動に街の人たちは自然と心を打たれた。通天閣のすぐ近くで「三吉うどん」を経営する岸野友和さんは「最初、翔ちゃんが一人でゴミを拾うのをみて、自分も自然と手が空いてる時は手伝うようになってました」と語る。
履物小売店「さわの」とジャズCD制作販売会社「澤野工房」を営む澤野由明さんは「彼とは直接話したことがありませんが、本当に毎日街をきれいにしてくれてます。だれにでもできることじゃないと思います、本当に感心です」と話している。 翔ちゃんは、大阪出身ではあるが、当初は新世界のことをすべては知らなかった。しかし、こうした活動をみて、各店主らがアドバイスを送ったり、店の前を記念撮影スポットや見学場所として提供する人も現れ、自然と地元になじんでいき、新世界の知識も格段に増え、観光案内に役立てた。また、今では地元商店会の会議などにも呼ばれるなど、今ではすっかり、地元で愛される存在になっている。
大学卒業後に弟子入りしてきた若者も現れた
そして、今年の春からは、お客として人力車に乗った際に翔ちゃんの姿に憧れ、大学卒業とともに弟子入りする若者も入り、今では一緒にゴミ拾いにも参加。また、同じく客として何度も乗ってくれた女性と結ばれ、夏に結婚するなど、支えてくれる人が増えている。 1人の若者が自分が働く街をきれいにし、多くの人の心を動かしながら周りの人や観光客を楽しませ成長を続けている。新世界にさわやかな風を吹かせる翔ちゃんは、連休中も「まいど~」と言いながら明るく走っていることだろう。