モキュメンタリーはどう楽しめばいいか…作家・背筋が語る”怖さ”への向き合い方
冷め止まぬモキュメンタリーホラーの熱
ホラージャンルを席巻しているモキュメンタリーホラー。メディアミックスも多方面に行われており、その熱をまだ冷めそうにない。今後もモキュメンタリーホラーが登場していくであろうなかで、楽しみ方のコツがあると背筋さんは語る。 「あくまで個人的な考えですが、私はジャンル論的な部分にこだわりすぎないほうがいいのではないかと思います。例えば、実話怪談はモキュメンタリーホラーと言えるかというと、違うように感じますよね。かといってどうしたらモキュメンタリーホラーと言えるかというと、それも明言しづらい。どこかに『これがモキュメンタリーホラーだ』とする線引きがあるかもしれませんが、私はそれを白黒はっきりさせない方がいいと思うんです。だって、そのままグレーにしているほうが怖いと感じませんか」 気がついたら取返しのきかないところまできてしまったという恐怖心は「このラインを超えたら大変ですよ」と言われるよりもよっぽど恐ろしくはないだろうか。背筋さんの言う「グレーなままにしておく」という言葉には、モキュメンタリーホラーの奥深さや可能性を感じる。 「私もホラーファンのひとりとして今後生まれてくる作品を楽しみつつ、継続してみなさんに満足いただけるような作品を書いていきたいと思っています。自分がどんなホラーが好きなのか、どうしたら怖いかを考えつつ、手法にとらわれることなく、作品を生み出せればと思います」 まだまだ衰える気配のないモキュメンタリーホラー。今後もさまざまな作品が登場し、読者を楽しませてくれそうだ。
織田 繭(医療ライター)