【約900万人のビッグデータを解析】熱中症患者数が”最も多い年代”は意外な結果に
今年の夏は全国的に記録的な猛暑に見舞われ、9月に入っても熱中症への警戒は必要です。日本システム技術株式会社(大阪市北区)は、独自に保有しているレセプトデータを中心としたメディカルビッグデータ「REZULT」を基に、熱中症についての独自調査結果を発表しました。同調査によると、実際に熱中症患者数が最も多いのは「10代」であることがわかったそうです。 【調査結果を見る】年代別の熱中症患者数 調査は同社が保有するレセプトデータ(約900万人/2024年8月時点)のうち、2020年1月~2023年12月診療、ICD10「T678 熱及び光線のその他の作用」(疑い病名を除く)を対象に実施されました。 なお、健康保険組合(1388組合/2884万人)と共済組合(85組合/854万人)分のデータを対象としているため、十分なサンプル数を得られていない60代以上は除外しています。 まず、2023年5月~10月の月別熱中症患者数および2022年からの増加率を算出したところ、熱中症患者数は「7月」と「8月」にピークを迎えていることがわかりました。 また、22年と比較すると、熱中症の増加率が100%を超えている月が多く、特に「8月」と「9月」で顕著に増加しています。 このような増加傾向がみられる要因の一つとして、気候変動や都市化の進行により、気温が上昇していることが考えられ、気象庁の公開しているデータによると、23年の東京の平均気温は、22年同月と比べて7月は1.3℃、8月は1.7℃上昇していることがわかりました。 次に、年代別に「熱中症患者数」を算出した結果、意外にも患者数が最も多いのは「10代」であることが判明。この結果について同社は、「学生は大人に比べて外での活動が多いことに加え、10代の若者は成長期にあり、体がまだ完全に出来上がっていないことが要因として考えられる」としています。 次いで、患者数が多いのは「50代」。50代はグランド・ジェネレーション(仕事や趣味でアクティブに活動するシニア層)の入り口である一方で、体力が徐々に低下し始める時期でもあることが要因といいます。 熱中症に1度発症したことのある方は、その後も繰り返しやすい傾向があると言われています。そこで、23年の患者のうち、過去に熱中症を発症したことのある患者の規模と、その内訳について調べたところ、23年の熱中症患者のうち、過去(20年~22年)にも熱中症を発症したことのある患者の割合は約12%でした。 これを年代別でみると、年代が上がるにつれ高くなっていき、「50代」が最も高くなる結果となりました。 この背景として同社は、「年齢を重ねるにつれて体力の低下や高血圧などの基礎疾患を持つ割合が増え、熱中症の発症リスクが高まるため」と推察。 その一方で、「年代や体質に関係なく、適切な対策を取らなければ誰でも熱中症になる可能性がある。こまめな水分補給や、少しでも異常を感じたら涼しい場所に避難するなど、個人での注意が重要」とも述べています。
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