不登校児童生徒18歳まで支援、中学教員もサポート→学び直しの機会にも 岐阜・山県市に新施設
岐阜県山県市は、不登校児童生徒への支援策として、生きづらさを抱える18歳までの子どもを地域で包括的に支える構想を進めている。困難を抱える市内の小中学生が過ごす「こどもサポートセンター」(同市高木)に、今春から地元の山県高校の生徒も通えるようにした。小中学校を所管する市教委と、高校を所管する県教委の枠組みを超えた全国的に珍しい取り組みで、地域で子どもの成長を支える。 「居場所を求める子どもたちを受け入れる体制に、行政区分は関係ない。子どもたちが社会に出て、自立していくために地域全体で見守る仕組みにしたい」。市の服部和也教育長はこう思いを語る。 市は今年4月、同市高木の保健福祉ふれあいセンター内で昨年から試験運用していた「こどもサポートセンター」を開設。市の子育て支援窓口がある施設に併設しており、福祉と教育の両面から対応できるようにした。児童生徒の要望に応じ、元々通っていた小中学校の教員がセンターで勉強を見ている。 市は山県高校と協議を進め、今年からは同校の生徒も通えるようにした。県教委は同校に教員を加配し、センターで同校の授業をオンラインで受ける生徒を2人体制でサポート。中学の教員が高校生の勉強を見る場合もあり、学び直しの機会にもなっている。授業や勉強に疲れたら自由に休憩が取れ、自分のペースで学ぶことができる。村上宏俊校長は「生徒の悩みは多岐にわたる。日常から離れ、ゆっくり心と頭を整理してほしい」と話す。 中学校までに不登校になった生徒は高校へ進学する場合、通信制を選ぶケースが多い。2023年3月の県内中学校卒業者のうち通信制高校へ進学した生徒は1385人で、10年前の倍以上に増加している。 センターでは、山県高校の教員が中学生を教え、進路相談に乗ることもある。普通高校への進学に対する不安を取り除き、進路の選択肢が限られないようにしている。今秋には児童館や図書室も整備する予定で、隔離されがちな不登校の対応とは異なり、社会に戻りやすい環境を整える。服部教育長は「子どもの成長を考えた場合、いつかは社会で生きていける力を身に付けないといけない。自分が成長できる場を見つけてほしい」と語る。
岐阜新聞社