広島市西区の市道陥没、現場は「浸水常襲地区」 市、重点対策地区として雨水管整備を計画
広島市西区福島町で26日に起きた市道陥没事故の現場一帯は、土地が低く、下水管も古いなどで、たびたび浸水被害に遭ってきた。市は浸水対策の重点地区と位置付け、雨水管の整備工事を進めている。ただ、埋め立てた旧福島川沿いでもあり、関連を含めて事故原因を調べている。 【1962年撮影の写真】1954年から埋め立てられた福島川(中央)。奥は整備が進む太田川放水路、手前は観音小 計画では、地下約30メートルで大型掘削機を使って福島公園からJR横川駅北側までの延長約3・5キロを掘り進み、直径5メートルの雨水管を整備する。25メートルプール約180杯分に当たる約6万7千立方メートルの雨水を一時的にためられ、太田川放水路へ排水する。2028年3月の完成を目指し、この2月に掘削を始めた。 市下水道局によると、都市機能が集中するデルタ部は、土地が低い上に1960年代に整備された古い下水管が大半。大雨が降ると、雨水を処理し切れず、道路冠水や家屋の浸水被害が繰り返されてきた。 今回の事故現場を含む三篠・観音・福島地区も1時間当たり20ミリ以上の降雨でたびたび被害に遭う「浸水常襲地区」。22年7月8日には3時間降り続けた雨により中広通りが冠水するなど、ここ10年ほどでも複数回の被害が発生している。 このため、市はデルタ部で雨水処理施設の整備を順次推進。舟入地区(中区)では10年かけ、13年に完了した。三篠・観音・福島地区も現状では「10年に1回降るような大雨」で床上浸水153戸、床下浸水1798戸を想定しており、雨水管の整備による被害の軽減を目指している。 一方、陥没事故が起きた市道は、太田川放水路(68年完成)の整備に伴って埋め立てられた旧福島川に沿って走る。既設の幹線の下水管が通っており、市は併用して排水を補う目的もあって新たな雨水管のルートを決めたという。市下水道局は「かつて川だった地層が道路の陥没に影響を与えたかどうかを含め、事故原因を詳しく調査する」としている。
中国新聞社