ダイハツが今後の事業方針を発表 小型車の開発・認証をトヨタが管理
開発の各所でトヨタのチェックが入る体制に
ダイハツ工業は2024年4月8日、同年3月1日に発足した新体制のもとでの、今後の事業方針を発表した。 【写真】これが次期型コペン? ジャパンモビリティショーでのダイハツの展示を紹介(58枚) ダイハツでは、2023年に認証試験における度重なる不正が発覚。2024年3月1日付で取締役人事を刷新し、井上雅宏新社長のもとで不正の再発防止、信頼回復の施策を模索してきた。今回の発表では、同社の原点である軽自動車をあらためて経営の軸と定めるとともに、不正を起こさない体制を構築するべく、2024年2月9日に国土交通省に提出した「三つの誓い」に基づく再発防止策を愚直に推進していくとしている。 今後の事業の方向性については、軽自動車に関してはこれまでの取り組みから大きな変更はなく、良品廉価なクルマづくりを推進するとともに、BEVにも挑戦。現在、発売が延期となっている軽商用BEVについてもプロジェクトを進めていくとしている。また海外(新興国)向けの製品に関しては、電動化・知能化の分野でトヨタとの連携を強化するという。 いっぽう、商品開発の体制については、ダイハツのリソース・知見に限界があることから、トヨタとの連携を強めるとしており、特に小型車では、海外向け、国内向けともにトヨタが開発から認証まで責任を持ち、ダイハツがその委託を受けて実際の開発を担うかたちとなるという。体制の移行については、今後のモデルの切り替えに合わせて順次進めていくとしている。 これに伴い、これまでトヨタとダイハツの橋渡しの役割を担ってきた「新興国小型車カンパニー」(ECC)は解消。2024年5月からは、開発から認証に至るレポートラインはトヨタの「Toyota Compact Car Company」に移管し、開発の節目管理(次のステップに進んでいいかどうかの判断、開発完了および認証に進んでいいかどうかの判断等)、事業・商品計画に関わるリソースの管理・適正化についても、トヨタが責任を持つ体制に移行するという。 なお、これらの体制変更、および過度に短かった開発期間の適正化は、商品計画にも影響を及ぼす見込みで、井上社長は「まずは再発防止をやり切る」と述べている。 一方で、不正の再発防止については、以下の取り組みを通じてマネジメントと現場のコミュニケーションを進め、体制・仕組みの適切な運用を徹底するとしている。 【経営改革】 機能軸による縦割りを排除し、横連携がとれるコミュニュケーション重視の組織へ再編。また統括部長、副統括部長を廃止し、5階層あった組織を3階層(社長⇒副社長⇒本部長)へとスリム化する。また役割とミッションを明確化した若手プロジェクトリーダーを抜てき。プロパーの社員からダイハツの経営に参加するような人材の育成に取り組む。 【モノづくり・コトづくり改革】 開発日程を身の丈に合ったものに見直すとともに、それでも遅れが発生した場合、現場が異常を知らせて進行を止められる体制を整備する。遅れが発生した場合はいったん開発の進行を止め、機能間でリソースを助け合う、日程を見直すなど、あるべき仕事のやり方ができる体制を構築する。 【風土改革】 部門間の人材ローテーションを活性化するとともに、人間力を重視したマネジメント人材を配置。形骸化した書面リポートの廃止や、デジタルツールの積極活用による効率的な業務遂行などを通じ、必要な仕事に時間と工数を使える業務運営体制を構築する。また無駄な仕事を省くためのワンボイスのトップダウンと、現場の問題やアイデアを吸い上げるボトムアップを実現。「働いて安心」「役割で仕事」「現場主義」を合言葉に、組織・人づくりの取り組みを推進する。 【経営責任の明確化】 法令・ルールを守れない企業文化が形成された責任は経営にあるとの認識のもと、旧経営陣による2023年度の賞与を返納させる。 ●松林会長・奥平社長・星加副社長:全額返納 ●武田取締役・枝元取締役:50%返納 ●役員(執行役員)5名:50%~10%返納 ※役職は2024年2月時点のもの。 (webCG)
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