僧侶で保護猫活動をするネコ坊主さんがみた、寂しがり屋で甘えん坊なネコの姿「孤独を愛する生き物って本当?」
◆孤独ベタな弥太郎の成長 ただ、お寺に迎えた弥太郎は、こちらの心配をよそに、わりと早く馴染(なじ)みました。私よりも、妻に(笑)。ぎゅるんぎゅるん甘えて、お腹を見せて転がりまくり、寝る時も一緒。 元の飼い主さんがひとつだけ付けた「必ず1匹で飼うこと。他のネコに愛情が移ったと思わせないように、多頭飼育はしないでほしい」という条件の意味がよくわかりました。 もんのすごく、寂しがり屋で甘えん坊のネコさんやったんです。 孤独なんて、全然愛しているように見えませんでした。 むしろ、孤独ベタでした。 しかし弥太郎には、自分の「これ、好きや!」を見つける力がありました。 お寺の中で気持ちいい風が吹き抜ける場所を探し当てるのも、めっちゃうまかった。いつしか、妻や私がそばにおらんくても、のびのび過ごすようになったんです(甘えっぷりは相変わらずですが……)。 孤独ベタな弥太郎は、自分の「好き」「気持ちいい」に素直に従うことで、おひとりさまを楽しめるようになったんやないか――そんなふうに、私には思えるのです。
◆すべてを受け止め生をまっとうするネコたち 弥太郎よりも、はるかに厳しい環境で暮らす地域ネコさんたちは、おひとりさまを楽しむ余裕などないかもしれません。毎日、生き延びるのにただただ必死なのかもしれない。 でも、長年続けている見守り活動中に、朝日をたどっていくと、必ずネコさんがいます。 昇ったばかりの太陽の光を浴びて、ぬくぬくと目を細めているのです。とっても気持ちよさそうに。 あの子たちには、仲間はいても、家族はいません。母ネコから追い立てられるように巣立つ生後半年以降は、基本的にずっとひとりです。 だけど、不思議とみじめな感じはしない。 おひさまも、若葉の匂いも、月の光も、そぼ降る雨も、すべてひとりで受け止め、ありのままの自分であることを愛しながら生をまっとうする姿は、むしろなんだか力が抜けて楽しそう。 まさに生まれながらの「おひとりさまの天才」ではないでしょうか。 ※本稿は、『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)の一部を再編集したものです。
籔本正啓
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