祖父から大学の入学祝いで「500万円」もらいました。「非課税だから大丈夫」といわれましたが、本当なんですか? 非課税は「100万円まで」と聞いた気がするのですが…
何かとお金のかかる教育資金は、周りから援助やお祝い金をもらう機会も多く、大金をまとめて受け取った場合は贈与税が心配という人も多いでしょう。しかし、実のところ教育資金の場合、条件を満たすことで最大1500万円まで非課税になる制度があることをご存じでしょうか。 本記事では、教育資金の一括贈与制度の概要や暦年贈与との違い、制度の注意点などを踏まえて、贈与税の非課税枠を超えた教育資金の贈与について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
入学祝いなら500万円でも非課税になる?
入学祝いなど教育資金として贈与する場合は「教育資金の一括贈与制度」が適用されるため、500万円の贈与でも非課税となります。 暦年課税での非課税枠は年間110万円までですが、要件を満たした教育資金の贈与であれば「教育資金一括贈与の非課税制度」が適用され、受贈者1人につき1500万円まで贈与税が非課税です。教育資金の一括贈与制度に該当する要件は次の通りです。 ・祖父母などの直系尊属からの贈与であること ・受贈者が30歳未満である(または30歳以上で学校等に在学、または教育訓練を受けている)こと ・受贈者が30歳を過ぎた後も在学している場合は40歳未満であること ・受贈者の前年の所得が1000万円未満であること 教育資金には、入学料や授業料、修学旅行代や試験の検定料などが含まれ、習い事など教育資金に含まれない学校等以外の活動については、1500万円のうち500万円までが非課税となります。 ただし、受贈者が23歳以上の場合は教育訓練給付金対象の受講費のみ非課税の対象となるため注意してください。 制度の適用は2026年3月末までで、制度の適用を受けるためには教育資金口座の開設を行い、「教育資金非課税申告書」を金融機関等の営業所などに提出する必要があります。
贈与者が亡くなると相続税がかかることも
非課税制度を利用した後に贈与者が死亡した場合、贈与された教育資金のうち、口座に残っている金額は相続等により取得したものとみなされ、原則相続税がかかります。課税額は贈与された時期により決められ、時期ごとの課税額は以下の通りです。 ・2019年3月31日以前の贈与は「課税なし」 ・2019年4月1日から2021年3月31日までの贈与は「贈与者が死亡する前3年以内の贈与額」 ・2021年4月1日以降の贈与は「贈与された全額」 なお、2021年4月1日以降の贈与分に課税される相続税については、受贈者が贈与者の子以外(孫など)で一定の要件を満たしている場合、相続税額の2割加算が適用されます。 ただし受贈者が贈与者の死亡日において「23歳未満」「学校等に在学中」「教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講中」のいずれかの場合は、贈与者が死亡した後も贈与された教育資金の残額に相続税は課税されません。 しかし、贈与者に関わる相続税の課税価格の合計が5億円を超え、2023年4月1日以降の贈与分に残額がある場合は相続税がかかるため注意してください。 一括で贈与した教育資金を分割して支払いに充てていく場合は、贈与税だけでなく相続税も考慮して制度を利用するようにしましょう。