本を出したい! でも一体何すればいい? から始まったライターが振り返る「私の本ができるまで」
企画会議最大の関門は、編集者を信じて待つのみ
連載は、必ず書籍化されるわけではありません。本人が望んでも、まず「書籍化したい」と思ってくれる編集者がいなければ実現しませんし、仮にそう言ってくれる編集者が現れたとしても、企画会議を通らなければ書籍化はできません。 私の場合は、先ほど触れたように、もう書籍化は諦めかけていたころに、本にしましょうと言ってくれる編集者に出会い、書籍化することができました。書籍化できるかどうかは、やはり巡り合わせの部分が大きいと感じます。 中には、何社もあたってやっと出版が決まる人もいます。同じ企画でも編集者によって反応は全く違います。ある社ではボロカス言われても、他社ですんなり通り、ヒット、なんてことも。企画が悪いのではなく、出版社側が得意とするテーマではないということもあります。あとはタイミングも重要です。内容に自信があるなら、1回だめでも、数打ちゃ当たる精神で諦めないことが大事だと感じます。 そして、編集者を見つけた後、待っている最大の関門が出版社の企画会議! 編集者がOKと言っても、企画会議で企画が通らなければ出版はできません。逆に、これさえ通れば出版は確実になります。ただ、企画会議で企画を通すのは編集者の仕事。ここは編集者の腕の見せ所! 著者は信じて待つしかありません。幸い、1冊目、2冊目共に無事企画会議を通過し、出版が決まりました。
原稿執筆(1)10万字を書き切るまでの戦いは、編集者が「命綱」
企画会議が通れば、あとはひたすら書くだけ。ここから孤独な戦いが始まります。 単発の記事であれば、2000~3000字を書いて、公開して、いろんなコメントが付くのに対して、本はおよそ10万字(本によって大きく前後します)を書き切るまで、編集者以外からの反応がありません。1冊目のときは1章分(2~3万字)を書き上げるごとに編集者に提出し、フィードバックをもらっていました。そこでのコメントが自分以外からもらえる唯一の反応。 もちろん、自分でも書いていて多少手応えがあったり、逆に自信がなかったりというのはあります。でも、本当にこれで大丈夫なのかは常に不安なところ。これ本当に文章として成り立ってる? マジでこれで大丈夫っすか? ってかこれ本当に面白いの? こんな文章でお金出してもらえるんでしょうか(半泣き)。うわああああああ。 こんな感じで、自信がなさすぎて一人で悶々として、ドツボにはまっていくんですよね。お金を払って買ってもらうクオリティに達しているのかとか、あらゆることが不安で、疑心暗鬼になっていきます。卒論で書いた2万字が人生で一番たくさん書いた経験だったのですが、本ではその5倍は書かないといけません。編集者から褒められると、こ、こここれで大丈夫なんだぁ!!!! と思えて、また書こうと思えたりする。著者にとっては編集者の言葉が命綱みたいなものです。 1冊目を書いていたときは、フルタイムで働く傍ら執筆をしていたので、仕事が終わって家に帰ってからの時間、休日を使って1ヵ月2~3万字を書いていました。その頃には連載を持っていたので、連載の記事も書きながらの同時進行です。体力がないので、時間を捻出することが一番の課題でした。どうしたかというと、とにかく速く書く(笑)! もう、それしかありませんでした。 幸い、書くことが見つからないとか、書けなくなる、みたいなことはありませんでした。泉のように書きたいことが頭の中に湧き続け、ひたすらそれを書き起こしていきました。専業作家の人だと、1ヵ月で1冊を書き上げてしまう人もいるそうですが、私は半年ほどかけて原稿を書き上げました。最終的には10万字くらいでしたが、容赦なく削ったり編集者に削られる部分もあったので、トータルで12万字以上は書きました。