ロンドンのタクシーは尊敬されるのに、なぜ「日本のタクシー」は尊敬されないのか? という根本疑問
業界全体の印象改善への取り組み
日本のタクシーのイメージをよい方向に変えていくためには、ドライバーひとりひとりの意識も大切だ。強引な運転やマナーの悪さ、接客態度の悪さなどで目立つドライバーがひとりでもいると、タクシー業界全体の印象が悪くなってしまう。 日本のタクシー業界において、ドライバーだけでは解決できない問題を改善するにはどうすればいいのだろうか。 まず、日本のタクシー料金が高いという問題だが、日本のタクシー料金は運輸局長が決めた運賃適用地域(運賃ブロック)ごとに設定されているため、タクシー会社やドライバーの技量によって変更することはできない。 運賃が統一されていないと、タクシー会社間の値下げ競争などでサービスの質が低下する可能性があり、それを防ぐためだ。そのため、今後自由に変更することは難しい。 しかし、日本でもライドシェアが始まったことで、数々の困難を乗り越えてきたプロのタクシードライバーの地位が向上し、高い運賃に価値が見いだされる可能性もあるかもしれない。
外国人観光客向け英語研修の効果
タクシーの業務適正化事業などを行う東京タクシーセンター(東京都江東区)は、タクシードライバーの外国人観光客との接し方を改善するための研修を行っている。また、研修終了者を対象に、接客の向上と研修の成果を確認するための「外国人旅客接遇英語検定」を実施している。合格者にはEDC(English Certified Driver、英語認定ドライバー)認定証が授与され、外国人旅客に英語でサービスを提供できるドライバーとして認定される。 このような取り組みはインバウンド対策としては有効だと思うが、残念ながら業界外にはあまり知られていない。もっと広く知られるようになれば、タクシードライバーの地位向上にもつながるのではないだろうか。 車両においては、ブラックキャブのような特徴的な外観ではないため、特別感がないのかもしれない。しかし、日本人にとっては当たり前のタクシーのドアの自動開閉は、世界的に見ても珍しいシステムだそうで、外国人観光客を驚かせている。 これを体験するためだけにタクシーを利用する人もいるほどだ。乗客の安全を確保し、乗り降りの負担を軽減する、まさに日本的なシステムである。乗客のことを考えて、適切なタイミングでドアを操作するドライバーがいることも忘れてはならない。