ロンドンのタクシーは尊敬されるのに、なぜ「日本のタクシー」は尊敬されないのか? という根本疑問
日本の免許取得条件
ここで、日本のタクシーとドライバーの特徴を見てみよう。日本では使用される車両が統一されておらず、色や車種など各社が独自の仕様を持っている。 2022年3月末現在、日本では20万3910台のタクシーが運行されている。ドライバーになるためには、普通自動車第二種運転免許を取得する必要がある。条件として ・普通自動車免許取得から3年以上経過 ・年齢が満21歳以上 ・視力は裸眼で0.5以上、両眼で0.8以上 ・信号の3色が判断できる ・深視力検査で誤差が平均2cm以下(眼鏡、コンタクトレンズの使用可) ・聴力は10mの距離で90デシベルの警報音が聞こえる(補聴器の使用可) などがある。 これらのテストに合格した後、筆記試験と技能試験を受ける。筆記試験では1種免許で得た知識に加え、旅客自動車の運転に関する知識が問われ、技能試験は1種免許よりも厳しく採点される。そのため、合格率は35~40%とそれほど高くない。 さらに、2015年10月1日から「タクシー運転者登録制度」が全国に拡大された。これにより、運輸局長が認定する講習(法令、安全、接遇及び地理)を受講・修了し、タクシー運転者登録を受けなければ法人タクシーに乗務することができない、と国土交通省が発表している。 また、地域によっては「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」(法令、安全、接遇及び地理)に合格する必要がある。ロンドンのタクシードライバーになるための条件は異なるが、日本でタクシードライバーとしてデビューするには、乗り越えなければならない課題が多い。
高い料金とサービスの期待
では、日本のタクシーにはどのような問題があるのだろうか。 世界中の空港送迎のオンライン予約サイト「Taxi2Airport.com」の2019年調査によると、日本のタクシー料金は5kmで15.64ユーロ(当時1920円)で、1位のスイスの22.68ユーロに次いで高い。ドイツは13.80ユーロで3位だった。そのため、求められる「運転技術」「土地勘」「ホスピタリティ」のハードルが高くなり、「サービスがよいのは当たり前」と思われてしまう可能性がある。 土地勘のない外国人観光客にとっては、目的地まで直接連れて行ってくれるタクシーは強い味方だ。しかし、現段階では外国語を話せるドライバーは限られている。 MKタクシー(京都市南区)では、同社に所属する1000人のドライバーのうち、外国語を話せるドライバーは50人前後と少ない。そのため、観光ガイドとしての知識はあっても、言葉の壁で物足りなさを感じることもあるという。 また、近年はセダンに加え、トヨタのプリウスαがタクシー車両として人気となっており、2017年10月にはトヨタ型タクシー専用モデル「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」の販売も開始された。 その他、メルセデス・ベンツやアウディなどの外車も使われ始め、車種が増えている印象もあるが、それ以外の特別仕様のタクシーや、地域ならではのデザインの提案はほとんどないのが実情だ。