「歳をとった親と話すとき」ケンカしないために覚えておきたい1つのこと
「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。 ● 「非言語コミュニケーション」を大切にしよう 「非言語コミュニケーション」とは、言葉以外のコミュニケーションを指します。具体的には、表情、身ぶり・手ぶり、身だしなみ、声のトーン、会話のスピードほか、身体の触れ合い(握手、抱きしめる)などが挙げられます。 親子で会話をする際には「伝える言葉」と同じくらい「非言語コミュニケーション」に気を遣うことが重要です。なぜなら、話し手の「表情、身ぶり・手ぶり、声のトーン」といった情報は、聞き手側の「感情(喜怒哀楽)」に作用しやすいからです。 たとえば、あなたが実家に行ったときに、母親がお昼ごはんを作ってくれたとします。そのとき、そっけなく「おいしいね」と伝えたら、母親はどう受け取るでしょうか。 「おいしいね」という言葉があるから、うれしいと感じるかもしれませんが「本当にそう思っているのかな」と、やや不安な気持ちになるかもしれません。 一方、母親の目を見ながら、明るく「おいしいね!」と伝えたら、どうでしょうか。きっと「子どもに喜んでもらえた!」と、素直にうれしくなるでしょう。
● 「非言語情報」のほうが伝達されやすい このように「伝える言葉」そのものと同じくらいかそれ以上に「非言語コミュニケーション」を駆使してコミュニケーションをとることは大切です。 「非言語コミュニケーション」の重要性は、有名な心理学者アルバート・メラビアン氏が提唱した「メラビアンの法則」によっても説明されています。メラビアン氏の研究結果によると、コミュニケーションで伝達される情報の割合は「視覚情報:55%・聴覚情報:38%・言語情報:7%」と考えられています。 つまり「言葉の内容」そのものよりも、相手の表情や声のトーン、身ぶり・手ぶり、会話のスピードなどの「非言語情報」のほうが伝達されやすいということです。 親に「ありがとう」の気持ちを伝えたいならば、表情や声のトーンにも「感謝の心」を乗せましょう。そのほうが何倍も、あなたの思いが伝わるはずです。
萩原礼紀