《ブラジル記者コラム》 恩赦委員会が日本移民迫害への政府謝罪を7月25日に再審議決定
政府謝罪を7月25日に首都で再審議決定
4月24日午前、戦中戦後の日本移民コミュニティ迫害への政府謝罪を求める見直し請求が通り、7月25日(木)午後2時から首都の人権・市民権省恩赦委員会(Comissão de Anistia)で討議されることが決定した。今までの経緯は3月26日付本紙《恩赦委員会が再検討始めるか=大戦での日本移民迫害への謝罪》(1)に詳述。 順番からすれば、今件は来年以降に扱われる可能性が高かった。だがブラジル沖縄県人会メンバーと共に発起人の奥原マリオさんがサンパウロ市のIMJ事務所で、恩赦委員会のエネア・デ・ストゥッツ・エ・アルメイダ委員長とオンライン会議を開いた結果、宮城さんらの「被害者が高齢化しているので早期開催を」との訴えが認められ、7月の日程が決まった。審議次第で当日、政府謝罪が行われる可能性がある。 このオンライン会議には奥原さんに加え、沖縄県人会の高良律正県人会会長、島袋栄喜元会長、宮城あきらブラジル沖縄県人移民塾代表が参加し、アルメイダ委員長は約30分にわたって当時の日本移民に対する非道な行いに耳を傾け、7月審議を決めた。 この謝罪請求とは「大戦中の日本移民サントス強制立ち退き」や「終戦直後の勝ち組幹部172人のアンシャッタ島監獄収監」などに代表される政府による移民迫害を巡り、奥原マリオさんとブラジル沖縄県人会が連邦政府の恩赦委員会に請求していた「損害賠償を伴わない謝罪請求」(件名番号08000.039749/2015-43)のこと。
再審議決定に沖縄県人会メンバーらが歓喜
オンライン会議後、高良会長は「再審議が決まったことに満足している。沖縄系コミュニティはとても喜んでいる」と笑顔を浮かべた。沖縄県人会として今件に取り組むことを決めた時の会長である島袋さんも、「今日は記念すべき日だ。今まであきらめずに続けてきた奥原さんに感謝したい。『群星』で証言を集め続けている宮城さんにも心から感謝したい。映画『オキナワ サントス』上映会を続けてきた上原定雄前会長の貢献も讃えたい」と述べた。 機関紙『群星』で毎号、サントス強制立ち退き事件の証言を掲載し続けてきた県人移民史塾の宮城あきら代表も、「2022年6月の審議では7対2で否決され、とても残念に思っていました。でも再審議が決定され、その意味を噛みしめています。サントスを追放された585家族の皆さんに対し、政府は80年以上を経ても何の謝罪もなかった。証言してもらった22人も高齢になり、亡くなっている方もいる。ぜひ生存しているうちに結論を出してほしかった。再審議が決まり、先人に対して申し訳が立った。当日に期待したい」と喜んだ。 奥原マリオさんも「(真相究明委員会の時から数えれば)実質20年以上この運動を続けてきた。前政権で否定されたとき本当にがっかりした。コミュニティの将来にとって、日本移民史の正当な評価を確立することはとても重要なこと。いままで僕を応援してくれた皆さんに感謝したい」と述べた。 12日付フォーリャ紙サイトでも《恩赦委員会は強制収容所に収容された日本人に集団賠償を行う》(2)との記事をだし、7月25日に審議が行われ、恩赦委員会はアンシェッタ島で収監されていた《日本人囚人に対する人権侵害を認める》と報じられている。 来年の終戦80周年を目前にして「日系社会の戦後」がようやく終わるのかもしれない。