告発側が山根元会長の反撃再開に危機感、刑事告発などを真剣準備
これらの状況を踏まえて、再興する会では、体制を一新する動きを早めた。 第三者委員会の設立、調査結果を待つまでもなく、早ければ週明けにも議決権を持つ5分の1以上の理事、都道府県代表者の同意文書を集めて、臨時総会の開催請求を森正耕太郎・会長代行に提出するという。 臨時総会で議決したいのは、山根元会長の関西連盟会長、奈良県名誉会長を含めた会員の地位の「除名」と、辞任意思を明らかにしていない理事の「除名」決議だ。これには、総会に過半数以上の出席と、3分の2以上の票を集める必要があるが、現在、30人中、数人の理事以外は、ハッキリと辞任の意思を示しているため、今、臨時総会を開けば、それらの決議が通る可能性は高い。 同時に、この臨時総会で過半数以上でOKとなる新理事の選出も行いたい意向だ。 先日、吉森専務理事は、会見で理事立候補の条件として「全国9ブロックの代表理事の中で、2期以上理事を務めている方でなければ理事になれない」と明らかにしたが、再興する会が調べたところ、そういう規約は存在しないという。しかも、告発状でも、問題提起されていたS理事は、その吉森専務理事の条件を満たしていないのに理事に就任している。 また金銭不正に関する横領の罪で、山根元会長と複数の側近理事を刑事告訴する準備も進める。 8日の会見では、現時点で、そこまで踏み込む考えはないことを戸田裕典弁護士が明らかにしていたが、山根元会長の辞任後のテレビでの反撃発言を問題視、訴訟準備に入った。これ以上、山根元会長が、テレビで発言を続けるようであれば、その決断に逡巡している各都道府県の代表者や理事に影響を与え、アマチュアボクシング界の信頼回復は先が見えないものになる。イメージダウンを食い止め、将来的な“復活”の息の根を完全に止めるために、司法の手に判断を委ねるプランを進めている。 山根元会長vs333人の告発者の“仁義無き戦い”は、まだまだ終結の様子はない。だが、山根元会長と、その側近は、今、アマチュアボクシング界が直面している東京五輪出場危機という問題や、信用、信頼の失墜が、なぜ起きたのか、という本質を見つめ直す必要があるだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)