大沢たかお「曖昧なセリフで濁すこともなく、真正面から向き合っている」ドラマ『沈黙の艦隊』に込められたもの
社会現象となった大ヒット漫画『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」)。“実写化不可能”といわれていたが、昨年、連載から約30年の時を超え映画化され大きな話題となった。そんな本作がAmazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』として、連続ドラマに。劇場未公開シーンに加え、その後のストーリーが描かれる。主人公・海江田役を務める大沢たかおさんに、ドラマシリーズへの想いを伺った。 大沢たかおさんのインタビュー写真&ドラマ中の玉木宏さんの写真はこちら!
配信される喜びはあるけれど、不安もあるのが正直な思い
――映画『沈黙の艦隊』が公開されたときよりも、より現実と作品で描かれていることが近づいている感覚があって、他人事ではない気持ちで観てしまいました。 僕が演じる海江田は、海上自衛隊きってのエリートで、国を守ろうとする気持ちと平和への想いが強すぎるあまりテロを起こしてしまう。もしもいつか似たような局面に僕たちが立たされたとしたら、どんな決断を下すのか。国を守るとは、平和とはどういうことなのか。原作にも描かれているそのテーマを、僕自身は観客のみなさんに押しつけるつもりはなかったし、あくまでエンターテイメントとしてお届けするのが僕たちの仕事だと思っていた。だけれど、おっしゃるとおり、リアルとフィクションが近づきすぎてしまいましたよね。 ――映画の撮影中にロシアのウクライナ侵攻が起きたときは、「はたして続行して大丈夫なのだろうかと不安がよぎった」と以前の取材でおっしゃっていました。そして今度は、ドラマ配信までの間に、今度はイスラエルがガザ地区に侵攻して……。 台湾有事もふくめ、この数年で世界が混沌としてきてしまった。なぜ今このタイミングで、というのはやはり考えます。企画が立ち上がったときには想像もしていなかったですからね。観てくれた人がいったいこのドラマから何を受けとるのか、僕たちも緊張しています。おもしろがってくれたらそれでいい、とは言えないし、ようやく配信される喜びはあるけれど、不安もあるというのが正直なところかな。