OpneAIが GPTストア ローンチも利用をためらう企業が続出。各社の懸念点はどこに
不十分なリソース
B2Bトラベルパブリッシャーのスキフト(Skift)の創設者でありCEOのファラット・アリ氏によると、同社はAIチャットボットを2023年5月にローンチして以降、最小限のアップデートしか実施していないという。これは社内の他の事業部門の成長に集中するためだと同氏は説明しているが、同時にパブリッシャー各社が2024年のAI分野への投資を控えようとしていることを示す兆候のひとつとも考えられる。 「大きな計画はまだない。新たに大規模な開発が行われるのを見守るしかない」とアリ氏は述べ、こう言い添える。「わが社にはオープンAIのGPTストアやAIについて今以上のことを検討する時間はない。手一杯だ」。 トラステッド・メディア・ブランズ(Trusted Media Brands)も、AI搭載ツール(献立計画をサポートするミールプランナーや検索ツールなど)の試験的構築に前向きに取り組んでいる企業のひとつだが、同社の事業開発担当バイスプレジデントであるジェイコブ・サラモン氏も、社内のAI関連プロジェクトのほうに引き続き注力していくとしている。 同氏はeメールのなかで、「私たちは現在、制作段階やテスト段階にあるプロジェクトを抱えており、当然、将来的にそれらがチャットボットストアでのパートナーシップに役立つ可能性はある。現時点では、オーディエンスのために最高の製品を構築することに全力集中しているため今はまだその点について検討はしていないが、その余地があるのは確かだ」と述べている。
収益化はこれから
GPTストアには収益化の機会がないことに加え、ストアのカスタムチャットボットを利用する人々が、そのパブリッシャーのサイトを訪問することにつながるかどうかについては懐疑的だと、ジャフィ氏は言う。 インジェニオは、自社サイトAstrology.comのチャットボットからいくらかの収益を上げている。チャットボットとのやり取りが上限の5回に達したユーザーに対し、5ドル(約740円)のバンドルを販売しているのだ。ただし、同社がどの程度の収益をあげているのか、また、自社サイトのチャットボットからどれだけのサブスクリプションを販売したのかについて、ジャフィ氏は言及を避けた。 「果たしてGPTストアでそういうことができるのかについては全くわからないし、GPTストアのビジネスモデルがどのようになっているのかも、まだわからない。そしてそれがどのように機能するのか、まだ誰も正確に理解していないと思う」とジャフィ氏は言い、「そして、パブリッシャーの役に立つ開発物についてオープンAIのチームからは何の情報も知らされていないし、彼らはストアのローンチ以来、ガイダンスも全く提供していない」と付け加えた。 カスタムGPTを作成・使用できるのは、オープンAIの有料プランであるChatGPT Plus(月額20ドル[約2960円])またはTeam(月額25ドル[約3700円])に加入している人のみだが、ストアローンチ時の発表のなかで同社は、2024年第1四半期中に収益プログラムを導入し、GPTのユーザーエンゲージメントに基づいて開発者が報酬を得られるようにすると述べている。 インジェニオは、GPTストアのローンチから1週間は何も行動を起こさないことを選択したが、その後、同社が構築した3つのチャットボットをGPTストアに追加することを決定した。ChatGPTが大規模なユーザーを獲得したことは、時間の経過とともにストアの人気が高まることを意味しており、早期参入者としての恩恵を受けることを期待しての決定であると、ジャフィ氏は説明した。 「こうしたプラットフォームで知名度を上げるのに、あまり長く待ちすぎると非常に苦しい戦いを強いられることがある」と、ジャフィ氏は言い、ストアのメインページに掲載されているGPTの数がまだ少ない今こそ、取り組むべき課題であることは間違いないという。 一方、インジェニオは3つのチャットボットの裏で機能するプロンプトを(多くのテストと反復を経て)すでに開発し終えていたため、「GPTストアで利用できるようにする作業には数時間しかかからなかった」とジャフィ氏は述べている。そのプロセスも比較的簡単だったようだ。