建仁寺塔頭 西来院 meets〈ブルーボトルコーヒー〉
西来院は750年前の開山以来、一般公開するのは今回が初めて。400年前に建てられた本堂に大規模改修を行い、このたび床暖房(!)も導入。テーブルの形は、禅宗の四大思想である地、水、火、風を表現した建仁寺の名庭「○△□乃庭」(まるさんかくしかくのにわ)にちなんでいます。そしてお庭も新たに作られました。コーヒーワゴンのある前庭は、ほぼ更地から一ヶ月半ほどで作り上げたのですって。青みがかった石は徳島の阿波青石で、蓮の花とお釈迦さまの瞳の色をイメージ。境内にはプラントハンターの西畠清順氏により1200株の蘭が植えられいるのだそうで、晩春に開花するのが今から楽しみ。 方丈庭園は、白砂と苔で長江と雲海を表現。奥にたたずむのは、仏教の聖地である中国・四川省の峨眉山から奉納された巨石。庭に対面するように座禅用の座布団が並べられていて、何時間でもいられそう……! お寺の中のアートワークもすごいんです。大迫力の天井画は世界のモード誌で活躍し、作品がロンドンのビクトリア&アルバート美術館の常設展にもなっている中国人ファッション写真家、陳漫によるもの。なんとこれが彼女にとって初めての絵画作品、しかも下絵なしで描き上げたというから驚き!
それにしても、このロケーションにブルーボトルがあるという事実には、やはり胸熱。ですが禅寺の雰囲気にさりげなく溶け込んでいるのですよね。西来院を開山した蘭渓道隆は、水墨画や華道といった芸術の分野でも多大な影響を与えたとされる人物。きっと今回のコラボレーションに至った両者の根底に通じるものがあるのかなと。 西来院でのコーヒートラックの営業は2024年6月2日までですが、その後もお寺の一般公開はしばらく続きます。そして今年はいつもより開花が遅れたおかげで、まだまだお花見ムードが続行中!ぜひ足を運んでみてください。 ●建仁寺塔頭 西来院 〈ブルーボトル コーヒートラック〉 住所_京都市東山区大和大路通四条下る小松町590 営業時間_10:00~17:00 休み_無休 ※西来院建物内は拝観料(500円、コーヒートラック利用の場合300円)が必要。 コーヒートラックでテイクアウトのみもOK。飲食は西来院内でのみ可能。 ●Hiroko Yabuki(Photo&Text) エディター・ライター。『POPEYE』『BRUTUS』などのライフスタイル誌で編集やライティング、海外アーティストのインタビューや撮影コーディネーションを担当。通訳案内士のライセンスを持ち、日本を訪れるVIPや旅行者のアテンドも。
GINZA