<塩野瑛久>大河ドラマでは初 「光る君へ」一条天皇役で“龍笛”の生音披露 「心をはっきりと映す楽器」をどう身に着けた?
◇定子との関係性 「本当に楽しく、愛し合えたのは一瞬」
もう一つ一条天皇を語る上で欠かせないのが定子の存在だ。定子役の高畑さんとは、以前、連続ドラマ「あすなろ三三七拍子」(フジテレビ系、2014年)で共演。塩野さんは「そのときからすごくすてきな女優さんだなって思っていました」と話す。
「その後も高畑さんが出演しているドラマや映画を拝見してきて、一種の憧れのようなものをずっと持っていました。そんな高畑さんと、一緒にお芝居できることがうれしくて」
一条天皇と定子の関係性は、連続ドラマとして「長い期間で見せることができる」と言いつつ、「それが全てではない」とも考え、「見せられるところはしっかりと、二人の関係が見えるように」との思いを抱く塩野さん。
「その中でも複雑な思い、お互いを思い合っているだけでは成立しないものがたくさん二人の身に降りかかってくるので、そこの葛藤だったりは、定子の家の事情も重々承知している一条としては、いとおしいけどどこか苦しかったです。自分も自分で帝として公卿たちに後ろ指を指されないようにするため、しっかりと芯を持って生きていかなければならない、でも定子への思いは捨てきれない。だから本当に楽しく、愛し合えたのは一瞬だったなって」
◇御簾の向こうで感じる孤独 詮子役・吉田羊へのリスペクト
今後は彰子が現れ、二人の間で揺れ動くことになる一条天皇だが、塩野さんは「着地の部分は自分も分かっていなくて」と話す。ただ一つ言えることがあるとすれば、それは御簾(みす)の向こうで一人感じる、帝としての孤独だ。
「すごく寂しいんですよ。みんながみんな自分の昇進のため動いていて、その中で自分は“ダシにされている”という思いもきっとあったと思うんです。自分の前で放たれた言葉も、全部が全部本音とはまったく受け止められなくて、そういう欲望が渦巻く場所で、一条天皇はさらされ続けていたんだなってことはすごく感じていて。だからこそ定子への思い、自分の心に正直な部分を大切にして生きていったのかなってすごく感じています」