簡易郵便局、局長なり手不足 北海道内40局が一時閉鎖 移住者が再開の例も
過疎地の身近な郵便・金融サービスを支える簡易郵便局が、局長のなり手不足で一時閉鎖する例が増えている。現在、道内281局の15%近くに当たる40局が営業しておらず、日本郵便北海道支社が35局で局長の委託先を募集中だ。同支社は全国初の仕事説明会を開くなど確保に腐心。見つからないまま廃止になるケースもある一方、地域によっては移住者が局長に就任して再開にこぎつける例も出ている。 【写真】移住者として函館釜谷簡易郵便局の局長に就き、移転改築した局舎で窓口業務に当たる堀江典昭さん(中本翔撮影) 過疎化が進む人口約50人の稚内市曲渕地区。高齢者が年金受け取りなどで頼ってきた曲渕簡易郵便局の局舎は、3月からあるじを失ったままだ。運営受託者の地元の砕石業者が、局長を務めていた社員の退職を受け、継続を断念。後継は見つかっておらず、市沼川支所は「最寄りの郵便局まで約5キロ。自動車を持たない人には大変」とする。 簡易郵便局は、全国にサービスを行き渡らせる目的で、日本郵便が個人や法人と契約。受託側は月約31万円の基本額や業務量に応じた手数料を受け取り、郵便物の引き受けや貯金の取り扱いといった業務を担っている。 過去に閉鎖が大きく注目されたのは、2007年の郵政民営化時だ。個人受託者の高齢化に加え、民営化で「業務の煩雑さが増した」(政府の郵政民営化委員会)ため全国で急増し、道内は全300局のうち39局が閉鎖。その後、委託手数料の引き上げなどの対策で持ち直し、閉鎖局の数は14年に13カ所まで減ったが、高齢化や後継者難のさらなる深刻化で17年から増加傾向が続き、24年は40局になった。 一時閉鎖した局は、日本郵便が地域事情などを踏まえて総合的に存廃を判断している。今年1年の間、5年以上閉鎖が続いていた長沼東町(空知管内長沼町)、米原(旭川市)、美幌元町(オホーツク管内美幌町)の3局が廃止に。現在、営業中なのは14年比15%減の241局にとどまる。