歴代最長の元号だった「昭和」 福岡・みやこ町出身の漢学者が考案
「昭和」は、1926年12月25日から62年と14日間にわたって続いた。歴代で最も長く使われたこの元号を考案したのは、福岡県みやこ町出身の漢学者、吉田増蔵(1866~1941年、雅号・学軒)だ。 【写真で見る】元号「昭和」を考案した吉田増蔵 町はホームページで功績を伝えている。それによると、増蔵は江戸末期、当時の豊前国上田村に生まれた。漢学塾で学んだ後に上京、渡米を経験。宮内省図書寮の編修官の時、上司だったのが文豪・森鷗外で、鷗外亡き後、元号の研究を引き継いだ。 増蔵が出した複数の案の中から、中国の古典「書経」の一節にある文字を取った「昭和」に決まった。振り返って戦争や経済成長など激動を重ねた時代の元号にはもともと、国民の平穏な暮らしと世界各国の共存共栄の願いが込められていた。 町内には増蔵の墓があり、2012年4月29日の「昭和の日」には顕彰碑を建立。また、兄の健作は「日本近代製麻業の父」と呼ばれ、23年に2人の足跡を描いた漫画「吉田兄弟物語」も作られた。 原作は町歴史民俗博物館の学芸員、井上信隆さん(51)で、「昭和天皇実録」などの文献をもとに約5カ月かけてまとめた。漫画への反響は地元では大きかったというが、「増蔵について県内ではほとんど知られていないのではないか」と井上さんは感じている。 漫画は町電子図書館の電子書籍として無料公開し、誰でもログインせずに読むことができる。井上さんは「ぜひ見てほしい」と話している。【井上和也】