サッカーに“延長戦”は必要? 延長戦がないコパ・アメリカに見る選手を疲労と怪我から守る術
120分の戦いは選手の負担が大きすぎるとの見方も
ドイツで開催されているEURO2024と、アメリカで開催されているコパ・アメリカ2024。今大会の大きな違いとして、『延長戦の有無』が挙げられる。 90分で決着がつかなかった場合、EUROは15分ハーフの延長戦が行われる。一方のコパ・アメリカは、延長戦を設けていない。90分で決着がつかなかった場合は、すぐにPK戦へと突入するフォーマットだ。 コパ・アメリカは決勝のみ延長戦を行うことになっているが、この違いに触れたのが英『The Guardian』だ。 CONMEBOL(南米サッカー連盟)がこの方式を採用しているのは、選手たちの疲労を軽減するためだ。選手たちがクラブで長く激しいシーズンを過ごしていることを考えると、悪くない方式と言える。また延長戦を考えずにゲームプランを組めるため、試合のインテンシティを落とさない狙いもある。 もちろん、気になる部分もある。例えば準々決勝のブラジルVSウルグアイでは、74分にウルグアイ代表MFナエタン・ナンデスが危険なタックルで一発退場となった。この時スコアは0-0だったが、ウルグアイは残り15分を守り切るだけでPK戦へ持ち込むことができた。延長戦がある大会ならば、延長戦の30分を含めて45分は10人で戦わなければならなかったのだ。従来のルールであれば、ブラジルにも突破のチャンスがあったかもしれない。 ただ、それよりも選手の疲労軽減や怪我防止の方が重要だろう。スペイン代表監督のルイス・デ・ラ・フエンテも「EUROのような過酷な大会では延長戦が廃止されるかもしれない」と会見で語っており、延長戦はベスト4以降からで良いとの考えを示していた。 かつては延長戦でゴールを決めた瞬間に決着がつく「ゴールデンゴール方式」もあったが、今は採用されていない。結果はどうあれ、必ず30分間は戦わなければならない。120分を戦って次のステージへ進んでも、選手たちには疲労が残っている。次のラウンドでガス欠を起こしてしまう可能性もあるだろう。コパ・アメリカとEUROの違いは注目を集めているが、どちらの方式が良いのだろうか。
構成/ザ・ワールド編集部