日本一危険な公園!?命のひりつきを味わえる【養老天命反転地】をレポート
東京で生活をしていて、ある程度大人になってくると、「これはヤバイ!」と物理的な命の危険を感じる瞬間ってそうそうないと思うのですが、岐阜にはまだ、そんな”ひりつき”を感じる公園がありました! それがこの「養老天命反転地」です。 【写真】上下対称の錯覚を起こしそうな‟映え空間”も
「養老天命反転地」とは、世界的なアーティスト荒川修作とパートナーのマドリン・ギンズが手がけた巨大な公園です。約18,000㎡に及ぶ広大な敷地内には、凸凹の足場や平衡感覚を狂わせる仕掛けが満載。全身を使ってバランスをとりながら、さまざまな身体の使い方を実践させる仕組みになっているのです。 1995年にオープンした、なんと自分と同い年(!)の公園。約30年分の年季が入っていい感じにレトロになっていました。オープン当初は話題になったと聞いたので、「懐かしいね~!」と合点が行く方も多いのではないでしょうか。 先日、「ここに遊びに行くんだ~」と話していると「日本一危険な公園って出るけど大丈夫?」と聞かれました。こんな有名なのに、んなアホな……と思って公式サイトを見てみると、たしかに「装備はしっかりと動きやすい服で」「怪我をした場合は救急箱があります」「穴の中には入らないでください(出られなくなります)」と、念押しがすごい! その期待を裏切ることなく、中は容赦無い傾斜と錯覚のオンパレード。自分のコンディション次第ではうっかり怪我をしかねない、まさに緊張感張り詰めるテーマパーク……! こうした普段とは違った身体の使い方を通して、「天命(=死ぬこと)を反転させる(=死なない!)」というパワーロジックを展開しているのです。生ぬるい都会で生きているインドア派の私は、すっかり汗だくになりました。 さらに入り口でもらうパンフレットにはこの場所の「使用法」が記載されています。「自分の進む速さに変化をつけること」「今、この家に住んでいるつもりで、また隣に住んでいるようなつもりで動き回ること」等、より効果的に園内を楽しむためのアーティストからの提案が。 さらに各セクションごとにより具体的な使用法が載っています。「『想像のへそ』の中やその近くでは、後ろ向きに歩くこと」「以前の決定よりも、より繊細に、またはより大胆に(あるいはその両方に)なるための決定を下すためには、『もののあわれ変容器』を使うこと」など……3回くらい読まないと噛み砕けないような哲学的な提言も含め、世界観に入り込んでみるのがおすすめです。 急斜面に置かれたソファー型ベンチに座って一息ついても、重力を感じすぎて疲れが取れない新体験や、真っ暗な隙間に置かれたハシゴを登った先に何もないという拍子抜け体験など、まさにここでしか味わえません。目安の所要時間は60分。出る頃にはすっかり汗だくに、そして入園前よりも少しアクティブに動き回れるような、体が自由になった気が! 一汗かいた後は、ミュージアムショップで記念にトートバッグをゲット。シンプルなブラックに、潔い英字のフォントなので、スタイリングを気にせず使いやすい! 厚手のコットン地なので荷物もガシガシ入れられます。ただ、意外とショルダー部分が短いので、ギチギチに荷物を入れた日には肩が苦しい! この違和感こそ、いつもとは違った身体の使い方……これも天命反転……と言い聞かせて使っています。
◇エディターKAGOHARA